第10話
彼らがスラムについた時、スラムは混沌と化していた。逃げ惑うスラムの住民、騒ぎを聞きつけ、先に到着し、事態を鎮静化しようとしている冒険者、スラムの外に出てきたスラムの住民を抑え込む王都警備兵が入り乱れていた。
僕らは到着してからこの光景を見て呆然としていた。
数舜がたち、我に返ったギルドマスターの掛け声で僕らも我に返った。
そして、僕の景色は真っ黒になった。様々な色が混ざり、真っ黒に見える。それをギルドマスターに伝えるべきか迷った。しかし、
「それぞれ住民、冒険者、警備兵に話を聞いて俺まで回せ!それ以外はスラムの冒険者の案内で暴徒のもとまで行け!」
と言われたので、僕らはそれぞれ散っていった。僕は何となく僕が過ごしていた地域に向かった。出入口からは近いが、たまに過ごす場所を変えていた。そこで僕はとある冒険者と出会っていた。もしかしたらその冒険者が暴徒と化したかもしれないし、暴徒と化した冒険者の仲間で隠れ場所として伝えている可能性があるからだ。
複数人の冒険者と向かうと、そこには複数人の人が倒れていた。その近くには剣を持った冒険者がいた。
「そこで何をしている!」
一人の冒険者が叫んだ。すると、剣をもった冒険者は笑った。
「はははははは!!」
僕は狂っていると思った。なぜなら僕はこの冒険者が黄色に見えたのだ。
黄色・・・狂気。何らかの理由で正気を保てていない。多いのはクスリの効果や呪術の類。呪術の効果で狂気を持つと少し黒く見える。
その冒険者はただただ黄色だった。純粋に気が狂っている。
一緒に来た冒険者が、
「何をしている!」
と聞くと、剣を持った冒険者は、
「何をしているって、見ればわかるだろぉ?このスラムに住んでいる屑どもを殺しているんだよ。本当は、エルだけを殺そうと思ったんだけどなぁ、あいつ、最近スラムにいねぇからよぉ、仲間意識のあるスラムの奴らを殺せば戻ってくると思ってよぉ殺してたんだよぉ」
と剣をこちらに向けながら言った。
僕は冷静だった。なぜならスラムの住民とはあまり仲よくしようとは思っていなかったからだ。だから僕はすんなりスラムを離れた。
しかし、倒れている人を見ると、僕がスラムに来た時に様々なことを教えてくれた人がいた。だから僕は覚悟を決めた。
こいつを殺す
と。
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