第15話

「...それでアップルマン。おまえ何しに来た?」


 グビグビとエナジードリンクを飲みながら、No.10のやつがそう聞いてきた。


「助手を探しに来たんだよ」


「...はぁ?」


「いや、流石にこの説明はおかしいな。...分かってるからその異常者を見るような目はやめろ。俺のガラスのハートが壊れちまうだろ」


「...だったらさっさと本題を言え」


「まあ端的に言うとだな、ボスモンスターをスカウトしに来た」


「...はあああ」


 No.10が頭を抱えながら、2本目のエナジードリンクを飲みだした。


「...ンングビグビグ。...アップルマン。お前ならこっち側の事情を知ってるだろ?...ダンジョンの最高戦力を、そんな分かりましたと言ってくれてやるやつがいるか」


「嘘だなNo.10。俺は知っているぞ。お前がこのダンジョンのラスボスに関して、悩んでいるという事を」


「......」


「ラブ&ピースの精神で行こうぜ。俺は都合のいい社員を確保できる。お前は問題児を放出できる。みんなハッピーてやつだ」


「......はあああ。そこまで言うってことは確証があるって事か、アップルマン?...分かったついてこい。案内してやる」


「いいねいいね!そう来ないとなぁ!!」


 俺は前を先導するNo.10の後を追いかけた。



「それで?その問題児ってのはどんなやつなんだ?」


「...ニートドラゴンだ」


「...え?ガチで?」


「...ガチだ。おまえも知ってるとは思うが、人間は弱過ぎる。...弱過ぎるからこそ、大体の人間は20階層を超える事無く死ぬ。...そうなると、100階層以降を維持する経費と採算が合わない」


「...ああ~。まあそりゃそうだろうな」


 強力な魔物や施設を維持しようと思うと、結構な費用がかかるらしい。その事で何度かNo.11からグチられているから、その辺の事情にはそこそこ詳しい。


「...ドラゴン。イメージこそ素晴らしいが、実態は大金がかかる無駄飯食らいだ。厄介な事にプライドが高くて、無駄に強い。...しかも最近、やつは人間のゲームにハマり出してますます手がつけられなくなった」


「処理すればいいんじゃないか?」


「...見栄を張って、私と同じくらいの力を持った魔物を作ったのが間違いだった。...端末で処理できるレベルを超えてる。...処理するなら、私が直接戦うしかない」


「あらら。一番最悪なパターンだな」


 そんなダンジョンの悲しい側面を聞かされ、ややげんなりしながも、俺達はやたらと豪勢で巨大なドアに辿り着いた。...ここが最終フロアか。




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