バウンダリ編 第32話 恐怖
今日は月曜日学校で授業中、需要のなさそうな普通教科ではなく体育でバスケット中、そこで皆は恐怖に震えていた。
ドリブルで猛然とバスケット部員が俺の見せ場だとばかりにディフェンスに切り込んでいく、チェンジオブペースやロッカーモーションを駆使しロールターンを入れ向き直るとボールをスティールされている。
もう幾度目かも分からない「くそっ、まただ・・・」理解ができない、気が付けば手元からボールが消えている・・・
そう犯人は導人だ、体育の授業中魔素を体に循環させ体をコントロールする練習をしていた、その動きは異常で周りからはある都市伝説のようだと囁かれていた。
そう、気が付けば背後にぴったりと張り付いている、まるで〈私導人今あなたの後ろに居るの〉とセリフが聞こえて来そうな状態だ・・・
周りから見ているとまだ様子がわかるが、オフェンスがボールを持った瞬間オフェンス側の選手の背後から背後へと瞬間移動でもするように移動していく、ボールを持った選手がパスを出そうとすると、どの味方の後ろにも導人が立っている・・・それも無表情で・・・
オフェンス側は、どんどん戦意を失っていく・・・
点差はすでに100点以上、当然導人側のみが点を挙げていく、さらに導人がボールを持った瞬間ゴールされている。
こんなものどうしろって言うんだ・・・バスケット部員として日々練習をし、強化指定選手に選ばれたこともある期待の星とよばれている、なのにドリブル中にも簡単にスティールされる、逆に追いかけても離され一気にゴールされるそれも途中でひょいっと投げられ全部が3ポイントだ。
心が折られ、いつも以上に疲労が激しい、なのになぜ導人は平気で笑っているんだドリブルが上手にできないとぼやいているが、あんなスピードでのバックチェンジやロールターン・・・プロだってできない。
最初に、正面から向き合った時のプレッシャーだって恐ろしくて足が動かなくなった、それに見たこともないステップだってわけが分からない、目線と体の動きが違うし近づくだけでなぜか転んでしまう。
導人は最初の早い段階で武道の足さばきが意外に使えることに気が付き色々試すことにした、腰を少し落とし足さばきと重心の移動だけで思ったように方向が変えられる・・・これは意外と使える、じいちゃんはこれを使っていたのか? 昨日の動きを思い出す、合気道の誘導を使い相手に触らず相手の動きを誘導し重心を狂わせて転がす。
面白い・・・目線や体の動きで相手を誘導する、その上でお互いが触れるボールを使いちょっと重心を変えてあげると、ころころと相手が転ぶ、いやこれは面白いし有効だな。
導人は面白がって色々試していたが、相手チームはボールを取りに近づくところころと転がされ試合にならない、いつしか体育館の中は静まり返り導人のドリブルの音のみが響いていた・・・
何時しか学校の中に近づくと人が転がされるバスケットボールと、いつの間にか背後に立つ導人は伝説ではなく怪談として認知されていった、本人はいろいろと試すことができ楽しかったようだが・・・
わたし導人・・・今あなたの後ろに居るの・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます