バウンダリ編 第22話 帰還

 宿にたどり着き、先生を探す

「先生、深見ただいま到着しました」

「へ? 」

「バスに置いて行かれて、今到着しました」

「へ? 居たよな?」

「いいえ、おいて行かれました」

「バスに乗った時に、いない奴は手を挙げろって・・・」

「・・・上げました・・・手を上げました・・・」

「・・・そうか・・・まあ無事に合流出来て何よりだ」

 目をそらし、鳴らない口笛を吹きながら立ち去って行った。


「・・・なんてこったい」


 カウンターに行き部屋に誰かいないか確認してもらい、友也がいるそうなので部屋に上がっていく。


 ベルを鳴らすと友也がが出てきた、荷物は持ってきてくれたようだ、お礼を言って中に入る。

 友也が部屋に居たのはこの古都なら、封じられた力が戻る可能性が高いそうだ「頑張ってくれ」と言いながらソファーに倒れこむ。


 土地勘のないところでバスに乗るのがあんなに大変だと思わなかった、たった5キロに2時間もかかってしまった、歩けばよかった・・・



 んっ、何時だ・・・7時10分?・・・へっ・・・そっとしおりを取り出す・・・夕食 3F奈落の間19:00~・・・へっ!?


 ずるずるとソファーからはい出し部屋を出る3階か、エレベータに乗り3階へ・・・降りたとたんに大勢の声が聞こえてくる。

 奈落の間に入りきょろきょろと見回すと、先生がやってきて「おお体調はもういいのか?」

「はあまあ・・・」

「食べれそうなら、席はあそこだ」

 と指をさすと、俺の皿から盗んだエビフライを咥えた友也と目が合う・・・

「ほおう・・・」


 友也は咥えていたエビフライをそっと皿に戻そうとする、ダッシュした・・・

 首筋をつかみ、「良い度胸だ小僧、気に入ったよ・・・覚悟はできているのかな?」

「な・・・何の話かな?」

 ととぼける。

「人を起こさずに放置し、おかずまで盗ろうとはいい度胸じゃないかね友也くん」

 だらだらと汗を流しながら、「いやあ、疲れている感じだったし・・・」

「今、人のエビフライ咥えていなかったか?」

「いや、あるじゃん・・・ほら」

「いや、戻してたよね・・・」

「そう? 見間違いじゃない?」


「良い度胸だ」

 そっと友也のフライの皿と入れ替え、ついでに鍋に入っていた謎肉を取り上げる。

「ちょおまえ・・・」

「何かな?友也くん?」

「えっ、いや・・・」


 少しかわいそうだから鍋にシイタケを入れてあげた。

 達男からも漬物と千切りキャベツが鍋に投入されたようだ。

「ちょ、おまえら」

「何かな?友也くん?」

 友也が、

「シイタケは肉とは違うのだよ肉とは・・・」

 と言いながら何かをした。

 気が付くと達男の鍋から肉が消えていた。

「あっ誰だ肉盗ったのは?」

「「さあ?」」

 友也が、達男に向かって

「ボケたのか? 達男さんごはんなら、今食べているじゃないですか?」

「・・・」

 ふと気が付くと自分の鍋からも肉が消えていた・・・

「だれだぁ~」

「「さあ?」」


 と、まあ楽しく食事をして部屋に戻る、メールをチェックして着信の無いことを確認する。


 その日ヤマトのゆるキャラが謎の怪光線を発射しダンジョンのモンスターを倒したSNS投稿が誰にも気が付かれることもなく削除された。



 次の日は朝6時にバスに乗ると、ヤマシロの都に戻りお茶摘み体験と工場の見学をして昼には高速軌道車に乗っていた。

 お茶摘みはレポートの提出が必要なため、みんな高速軌道車の中では資料をまとめていた。

 途中気が付かれず置いて行かれたりしたが、まあ楽しい旅行であった。



 導人は後日報告を受けたが、問題があったフジの陸軍研究所では・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る