第9話

「あのさ!余計なことかもなんだけどさ!」


「ん、なに?」


「その、その顔がいいなって思って」


氷室さんは急に眉間にシワを寄せてみせた。

そしていつもの口調で


「は?どういうこと?」と怒ったように

俺に尋ねた。


「その、親しみやすいと思うんだよね。

今のそのきつい顔じゃなくてさっきの、ちょっと前のにこやかな顔のほうが。絶対、友達もできるだろうし、大きなお世話かもだけど、その、なるべく笑顔でいたらいいと思う...」


「....お風呂借りてくる」


「うん。ゆっくり使ってくれていいから」


氷室さんは俺のアドバイスを軽く受け流した。きっと分かってくれたかどうかはわからないけど、人間、笑う角にはなんとか、、

って言うし、笑顔でいたほうがきっと幸せになれると思うんだ。俺的に。

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