248 10月6日(日) 追ってくる・・
この日記によく書いているが・・ときおり、どこかに出かけて行っては、スマホで周りの風景や建物などの動画を撮影している。撮った動画は非公開でSNSにアップするのだ。非公開というのは、SNSをボク個人のアルバムとして使っているというわけだ。
動画を撮影するときは、100円ショップで買った『スマホホルダー』を使っている。これは、ミニ三脚のようなもので・・短い三本の脚があって、その先に大きなクリップが付いている。そのクリップにスマホを挟んで、撮影するようになっているのだ。三本の脚を広げると、小さい三脚として使える。そして、脚を折りたたむと、片手で持つこともできる。こうすると、歩きながらでも撮影ができるので、実に便利なのだ。
でも、ときどき、スマホの撮影が上手くいかないときがある。そこで、ボクはスマホホルダーを改造して・・数千円で買った安いカメラを、スマホホルダーの上部にネジで取り付けられるようにしたのだ。こうすると、スマホと合わせて2台のカメラで動画の撮影をすることができるので、万一スマホの撮影が上手くいかなくても大丈夫というわけだ。
以前はこんな風にスマホで周囲の撮影をしていると、奇異な眼で見られることが多かったが、最近はそんなことはなくなった。You〇ubeなんかの普及で、ボクのようにスマホで風景などを撮影する人が増えてきたのだ。観光地に行くと、外人さんなどがよく、スマホホルダーにスマホを取り付けて、景色や建物を撮影しているのを見かける。
だが、動画撮影をしていると、とんでもない恐怖に見舞われることもある・・
先日のことだ。
観光地にある小さな資料館に行った。昔の道具類を展示した博物館のようなところだったので、撮影する対象は一杯ある。で、いつものようにスマホを持って、展示物を撮影していた。
すると、突然、ボクの前に日本人の若い男性が立ったのだ。ボクと同じようにスマホホルダーにスマホを取り付けて、それを手に持っている。
こういうことはよくあるのだ。ボクが撮影したいと思うものは・・他の人も撮影したいと思うことが多いので・・このように撮影が重なってしまうわけだ。
仕方がないので、ボクは横に移動して・・資料館の中の別の展示物を撮影し始めた。
すると・・さっきの兄ちゃんが再びボクの前に現れたのだ。
こういうことは・・あまりないが・・ゼロではない。たまたま、二人の撮りたいものが、二回続けて重なったというわけだ。そこで、再び、ボクは少し移動して、また別の展示物を撮影し始めた。
すると・・さっきの兄ちゃんが・・再び、ボクの前に現れたのだ!
こういうことは・・滅多にない・・というか、絶対と言っていいほど、起こらない!
三回も続くなんて? いったい、どうしたのだ?
ボクは首をひねった。
そこで、ボクはおかしなことに気付いたのだ。
ボクはカメラを資料館の中の展示物に向けて動画を撮影している。そのボクの前に兄ちゃんが立っている。その兄ちゃんが、ボクと同じ展示物を撮影しているのならば・・兄ちゃんはボクに背中を向けていなければならない。
ところが、兄ちゃんはボクの方を向いているのだ。つまり、この兄ちゃんは、カメラで展示物ではなく、ボクを撮影していることになる。
どひゃああ・・と思った。
カクヨムにいらっしゃる妖艶でお美しい美女作家の皆さまなら、撮影したいと思うだろうが・・ボクなんか動画にとっても仕方がないのだ!
それに、知らないうちに、知らない人に動画を撮られるって、気持ちのいいことではない。ボクも動画を撮影するときは、極力、人が写らないように気を付けているのだ。
しかるに、この兄ちゃんは、ボクの真正面に立って、ボクをスマホで撮影している。しかも、ボクが場所を変えたら・・わざわざ、同じ場所に移動して、再び、ボクの真正面に立つのだ!
なんとも気味が悪かった。
見知らぬ人間が何故か執拗に追いかけてくる・・昔、そんなハリウッド映画を観た記憶がよみがえってきた。
その映画では、主人公は、全く知らない男に追われて、追われて・・極限の恐怖を味わうのだ。
一気に汗が噴き出してきた。
ボクはあわてて資料館を飛び出した。
資料館の前の道に出て、ホッと一息ついて・・資料館の入り口を見ると・・なんと、あの兄ちゃんも入り口から道に出てくるではないか!
追いかけてくる・・
ボクの背筋に冷たいものが走った!
ボクは道の脇に立って、兄ちゃんに背を向けた。兄ちゃんに見つからないようにしたのだ。
だが無駄だった。兄ちゃんはすぐにボクを見つけたようだ。ボクの方に歩いてくると、ボクの横をゆっくりと回った。そして、またもやボクの前に立ったのだ!
な、何なんだ! どうして追いかけてくるんだ!
ボクの心臓がバクバクと鳴った。呼吸が苦しくなって・・ボクは口を開けて息を吸った。喉がカラカラに乾いていて、空気が喉を通るときに乾いた音を立てた。
その兄ちゃんは・・ボクの真正面に立って、ボクを見つめている。
すると、兄ちゃんの口が開いた。その口から声が出た。ボクには、地獄の底から響く声のように聞こえた・・
「あの・・」
ボクは身構えた。兄ちゃんの声が続く・・
「その・・スマホの上についているのは・・何なんですか?」
「はぁ?」
一気に緊張が解けました! 緊張が解けたので、ここから文体も変わりますよ(笑)。。
冒頭に書いたように・・最近、ボクはスマホホルダーを改造して、スマホの上に、もう一つカメラを取り付けているのですが・・兄ちゃんは、それが何か分からなくて、ボクに聞きたかったようなのです。
ところが、ボクに聞こうとすると・・何故か、ボクが移動するので・・ずっと、ボクを追いかけてきたというわけなのです。
ボクは兄ちゃんに、スマホホルダーを改造して、予備のカメラを取り付けていることを説明しました。その説明を聞くと、兄ちゃんは納得して、資料館の中に戻っていきました。
動画撮影で、思わぬ怖い思いを味わった・・という笑い話でしたぁ! でも、実話なんですよ(笑)💦。。
皆さんもスマホで動画を撮っていたら、誰かに執拗に追いかけられるかも分かりませんよ。。。
お気を付けくださいマセ(笑)。。。
(著者註)
本文とは関係がないのですが・・『追いかけてくる』動画を、今日の近況ノートに載せました。
https://kakuyomu.jp/users/azuki-takuan/news/16818093086193935460
奈良公園で、ボクを追いかけてきたシカです。ボクに追いつくと・・「何かくれ」と催促してきました! ボクは何も持っていないのに。。。
ボクが持っているスマホが、シカせんべいに見えたのでしょうか?(笑)
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