30 5月18日(水) 9回裏2死満塁スリーツー

 この日記の5月3日と5月10日の項で、抱腹絶倒のドラマと映画の話を書いた。(5月3日(火) TVドラマで大笑い、5月10日(火) 今度は映画で大笑い)


 それで、ドラマや映画ではないが、テレビのスポーツ中継でもとんでもないことがあったのを思い出したのだ。


 それで、今日の「よかったこと」は以前スポーツ中継であった抱腹絶倒のシーンを思い出したこと。


 僕は銭湯が好きで、以前は家の近所の銭湯によく行っていた。銭湯のあの独特の雰囲気が好きなのだ。


 その夜も銭湯に行った。身体を洗って銭湯の湯船から出て、脱衣場で服を着ていたときだ。僕は脱衣場のテレビに眼をやった。テレビではプロ野球のナイター中継をやっていた。セリーグのチーム同士の対戦だった。


 首位攻防戦。9回の裏。3対3の同点。2死満塁。ピッチャーは守備チームのエース。去年は15勝近い勝ち星を上げている。バッターは攻撃チームの3番打者。去年、首位打者をとったバッターだ。


 野球でこれ以上盛り上がる場面はないだろう。球場のボルテージは最高潮に達していた。テレビのアナウンサーと解説者の声も興奮している。


 僕はいつもは服を着るとさっさと家に帰るのだが・・その夜は違った。僕は服を着ても家に帰ることができなかった。テレビに見入ってしまったのだ。


 どうなるんだろう・・


 エースピッチャーはピンチに相手の強打者を迎えて、1球ずつ慎重に投げている。その1球ごとに、守備チームと攻撃チームを応援する歓声とため息が、ウワ~ンという音になって球場全体に響くのだ。それがテレビを通して僕にも伝わってきた。テレビを見ている僕の身体もその1球1球に思わず力が入って硬くなった。


 そして、とうとう、カウントがスリーボール、ツーストライクになったのだ。守備側は絶体絶命の局面を迎えたのだ。次の球がボールならば押し出しで攻撃チームのサヨナラ勝ちだ。ストライクならば三振で延長戦に突入だ。それとも、3番の強打者がヒットを打つのだろうか?


 僕はかたずをのんでテレビ画面を見つめた。アナウンサーの声が大きく響いた。


 「さあ、最後の一球です」


 そして、エースピッチャーが大きく振りかぶって・・投げた。白球がピッチャーの手を離れた・・


 そのとき、テレビの野球中継が終わったのだ。画面が切り替わり・・スポンサーのコマーシャルが流れだした。


 えっ・・うそだろう?・・なんで、こんなタイミングで・・


 僕は急いで銭湯から家に帰った。テレビをつけた。なんと、あの最後の一球がボールで、攻撃チームがサヨナラ勝ちしたのだ。


 しかし・・と僕は大笑いしてしまった。


 首位攻防戦。9回の裏。3対3の同点。2死満塁。エースと昨年の首位打者の対決。カウントはスリーボール、ツーストライク。そして、エースがボールを投げたところで、野球中継が突如終了する・・


 これはこれで、これ以上のタイミングはないだろう。この野球中継をコメディーと考えれば、まさに絶妙のタイミングで中継が終わったのだ。


 僕はそれを思い出して大笑いしたというわけだ。


 きっと、あなたの周りにもあるんじゃないかな? こんな抱腹絶倒のコメディーが・・




 

 


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