シクロクロス in 野辺山

 ウィキペディアより

【シクロクロスとは、オフロードで行われる自転車競技である。競技は秋から冬にかけて行われることが多く、舗装路、未舗装路、芝、急坂、障害物などの含まれる短いコースを、自転車に乗車・降車・担ぐ等しながら周回し、ゴールの順番や所要時間を争う。「シクロクロス」はフランス語読みであり、英語では「サイクロクロス」と発音される。 】


 シクロクロスは数年前から日本でもすごく盛り上がりを見せていて、競技人口もグングンと増えている。

 自転車をバリバリにやっているトップ選手だけじゃなくて、ちょっと頑張ってやってみたいっていう一般人にも取っ付きやすい競技で、カテゴリーがいくつにも分かれているんだ。


 競技時間は男子のトップカテゴリーで約一時間。コースを十周弱っていうのが標準かな。

 観客もコース全体を見渡せたり、ちょっと移動すれば一周のうちにも何回も選手を応援できる。

 MCの声がコース全体に届いて、レースの展開も把握しながら観戦できるから、観ていて楽しいし、選手と観客が一体となって盛り上がれる感じ。


 俺が住んでいる野辺山でシクロクロスが開催されるようになって十三年目かな。

 野辺山に住むオーガナイザーが海外のレースの事をよく知っていて、ナイスな仕掛けを色々と持ち込んで、国内のシクロクロスの中で最も盛り上がる大会になってるって言っていいと思う。


 ビールやワインを飲みながら観戦!

 魅力的な飲食ブースの出店。

 名物「泥」と大きく書かれた、毎年デザインが変わるセンスあるTシャツ販売。

 カウベルをジャラジャラと鳴らしながらの応援、などなど。

 ただ、レースが行われているというよりもお祭りみたいな感じなんだ。



 先週末、2日間のお天気は予報通りだった。

 1日目はドライ、2日目は男子エリートレースに合わせたかのように冷たい雨が降り出し、中盤からは非常にスリッピーな難しいコンディションでのレースとなった。


 固い土の上にチョコレートがコーティングされたような感じの路面はチュルチュルで、多くの選手達があちこちですっ転んでいる。

 トップを独走している選手でさえ、ウェアに泥が塗られて、転んだ事が一目で分かる。


 そして過酷な条件になる程に、速いというだけでなく、が際立ってくる感じで、選手各々の個性も色濃くなってくる感じがする。

 周回を重ねる毎に泥まみれになって、ギリギリを攻めてくる選手達に酔いしれる。

 しっかりと前を見すえる鋭い目、身体から発する熱いものがぐいぐいと伝わってくる。

 現地観戦ならではの醍醐味がここにある。

 選手達からは勿論、関わっている人達が発する熱いものを直に感じる事が出来るんだ。


 そんな両日、最上級カテゴリーを制したのは男女共に俺のペンションに宿泊してくれた選手だったんだぜ!

「おめでとう!」の乾杯をして、その日の夜に上がってきたレースのダイジェストムービーを優勝者と一緒に観るという贅沢な時間を過ごした。


 〇〇選手のここが上手いとか速いとか、ニ人共王者というよりは、まだまだ自分を高めようとする挑戦者の雰囲気。

 そこがまた素晴らしいって思う。

 二人の王者はまだまだ強くなるぜ!



 そうそう、この大会の正式名称が

『ラファ+弱虫ペダル スーパークロス野辺山2022』


 冠にも付いている『弱虫ペダル』って知ってる?

 これまで自転車に見向きもしなかったような人達に、幅広く興味を持たせてくれた漫画で、アニメや映画にもなってて、『弱虫ペダルサイクリングチーム』は何度も俺のペンションに合宿に来てくれてるんだ。


 あ、今回の男子の最上級カテゴリーで2日間とも優勝した選手もこのチームの選手だ。

 元々このチームに所属してたって言った方が良いのかな?

 今はロードは海外で走ってるんだ。世界最高峰のワールドチームの育成チームに所属していて、ロードシーズンが終了すると帰国してシクロクロスは『弱ペ』で走ってる。チームと個人がすごくいい関係だなって思う。

 彼のお父さんがこれまたスっごく存在感のある(身体的にも!)写真家さんで、一緒に泊まってくれていて、息子やチームの素晴らしい写真をすぐ上げてくれるという素敵な関係だ。


『弱虫ペダル』の作者さんであり、チーム監督のW先生がこれまたスゴイ方でさ。

 自ら本気で走ってる方で、今回もレースをマジで走って、会場でサイン会をやれば長蛇の列。

 ま、大会の中で一番人気は先生だろうな。


 俺の自転車仲間に先生と『弱ぺ』の熱烈なファンの方がいてさ。

 今回、めちゃくちゃ強行スケジュールで野辺山にやってきて宿泊もしてくれたんだ。宿泊って言っても二〜三時間仮眠しただけだな。

 自分がレースに出場するわけでもなくて、先生の応援と自らが課した大事なミッションを抱えて乗り込んできた。


『弱ぺ』の主人公、小野田坂道仕様の弱ペダジャージ&メット にサインを貰うという彼にとっては壮大な任務だったらしい。


【夜中に家を出発。

 朝六時半~の試走時間前に待機。

 先生の試走後にご挨拶。

 談笑後に念願のサインをGET。

 早々にミッションクリアできました。】 と。


 作戦を練って、下準備をバッチリやって、よく見てタイミングを見計らって、勇気を出して攻める!

 これはレースと同じだな。

 彼はこうして成功を収めた。


 熱い気持ちには、熱い気持ちを持ってしっかりと応えてくれる先生。

 弱ペダジャージの背中一面に坂道くんの似顔絵(似顔絵じゃなくて本物?)をどーんと書いて下さったのだ!


 彼はこのジャージは「もう着れない」って。もう一枚購入するのだとか⁉︎

 レースだけじゃなくって、色んな所に熱いものがあって、それが大会の魅力でもある。


 俺の住んでる大好きな野辺山だから、この大会が盛り上がって、みんなが楽しんでくれて、今年も事故なくやり遂げられた事がすごく嬉しい。関わってくれた皆に感謝の気持ちでいっぱいだぜ‼︎

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