ジロ開幕!

 ふうこがカクヨムに投稿している小説の中で一番多くの人に読んでもらってるのが『リスペクト』。


 これは昨年の自転車レース「ジロ・デ・イタリア」をテレビで観て、書きたいなって思う場面や思った事がいくつかあって、それらをもとに肉付けしながらフィクション小説にしたものだ。

 舞台はロードレースの中で一般の方達に一番知られている「ツール・ド・フランス」にしたんだけどさ。

 昨年五月のジロが終わってから、七月のツールの期間中に書き終えた作品なんだ。


 本日、三週間に渡るジロが開幕! 残念ながら日本人の出場は無い。少し前までは出場予定選手の中にバーレーンチームのユキヤ(※)の名前があったんだ。バーレーンは割と直前になってメンバーが結構変わったから、たぶんシーズンを通しての計画が変更されたんじゃないかって思う。

 これは俺の想像だけど、ユキヤはメンバーから落とされたんじゃなくて、ツールに抜てきされるんじゃないかな? って。

 昨年のジロやヴェルタがそうだったけど、今めちゃくちゃ強い選手がわんさかといるバーレーンチームの中の八人に選ばれるってすごく大変な事だと思う。もしツールに出場できたら、物凄いぜ!

 勿論チームはエースの総合優勝を狙っていくはずで、ユキヤはアシストの要。チームの中での信頼度は抜群なんだろうなって思うんだ。


 フミ(※)は昨年で選手生活に区切りをつけたしな。彼は日本選手がロードレースの本場であるヨーロッパで走る道を切り開き(勿論それ以前の先人達の力もあるけれど)、世界の中で戦えるという姿を見せてくれて、ワールドチームの中で役割を全うしてきた選手だ。

 選手という形ではなくなったけれど、サイクリングに関わるフミの情熱は今も変わらない。


 本当に本当に厳しい世界だと思うけど、フミが活動し、ユキヤがこうして大きなレースを走っているうちに、小説の中のソラみたいな子が出てきてくれよって願ってるんだ。


 日本選手の出場は無いにしても、今年のジロはどんなドラマが生まれるのかな?

 筋書きのないドラマ。楽しみだぜ!


 またふうこの小説の宣伝みたいになってわりーけど、この小説にはこんな嬉しい作品レビューを頂いてるんだ。

 これ見たら『リスペクト』も、テレビで「ジロ・デ・イタリア」や「ツール・ド・フランス」も観たくなっちゃうだろ?


 ★★★


【リスペクトを胸に今日もひたむきに駆ける】


 自転車ロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」を舞台に、ある日本人選手の10年間の軌跡を描いた物語です。


 リスペクトする選手のアシストをしたい──。その強い思いから17歳でプロになったソラ。経験を重ね、大きな谷を乗り越えるごとに、ひと回りもふた回りも大きくなってゆく姿がまっすぐに、たくましく描かれています。苦境にある時も自転車への情熱を失わない姿には、思わず応援を送りたくなるでしょう。


 とはいえ、重たいスポーツ根性ものではなく、不思議な軽やかさとユーモアがあるのがこの作品の魅力です。その根底に流れているのは「自分を一番輝かせるもの」に対する情熱と、繋がっている人たちへの「リスペクト」。


 自転車レースという過酷な世界で、チームの一員としていかに走るか、エースを活かすにはどう走らねばならないか、登場人物をとおして今まで知らなかったロードレースの世界を見せてもらいました。臨場感のあるスリリングなレースシーンも読み応えがあり、こちらまで観戦しているような気持ちになります。


 ツールのファンは勿論、そうでなくても、読み始めたらきっとソラの青春を追いかけたくなるでしょう。目標に向かってひたむきに駆ける姿が爽快な読後感を与えてくれる作品です。ぜひこの世界を体験してみて下さい。


 ★★★


 こんなレビューを書いてくれる人がいるなんて凄いだろ?

 自分が一生懸命に作った作品をここまで感じとって、他のユーザーにも薦めてもらえるって、ホント嬉しい事だぜ。


 カクヨムを通して繋がった人は俺の事を知らない。俺の作品を見にきてくれる人だって、作品の作者はどんな人なのか分からないはずだし、自転車の事とか興味ない人が殆どだと思うんだ。中には「自転車レース」とか検索して来てくれる人もいるかもしれないけど、そんな人はごく僅かだと思う。

 そんな人達が俺の作品を見て、少しでも自転車に興味を持ってくれるのはすごく嬉しい。


 俺は自転車の事を書くのが一番好きだけど、自転車だけじゃなくて、様々な作品を通して俺の好きな世界観を共有してもらえる事はすごく嬉しい事なんだ。



 こうして一年前のジロの事を思い出しながら書いているわけだけど、この一年間での変化も色々とあって、昨年の総合優勝者は今は大怪我からの復活途上中だ。

 彼は今年一月の練習中に、停車中のバスに猛スピードで衝突して、約二十ヶ所を骨折する大けがをして死にかけたんだ。

 合計五度の手術が施されたらしいんだけど、それからわずか六週間後には自宅で練習用の自転車に乗って、笑顔でピースしている写真を投稿したらしい。

【「信じる気持ちがあれば何でもできる。伝えたいのは、本気で願えば不可能はないということだ」とつぶやいた。】

 そんな記事を見かけた。


 彼は今年のツールを走る可能性もあるって噂だ。ホントかな?

 恐るべし、自転車選手の回復力。

「リスペクト」の中の主人公のソラも大きな怪我に苦しめられてしまうのだけれど、現実の世界は本当にもう、小説よりも小説みたいだって思う事だらけだ。人間の常識というものを遥かに超えているような世界。

 この小説の中でレオナードやソラが苦しんだ背中の痛みっていうのも、昨年の総合優勝者がかつて苦しんでいた痛みを引用したものなんだ。


 瀕死の重症から復活して再び大活躍をしている選手が沢山いるような世界。

 怪我後、以前のようなパフォーマンスを発揮出来なくなっても、その中でベストを尽くして走り続けている選手だっている。

 かつてエースと呼ばれていた選手がその能力を奪われたとしても、ロードレースには一人一人に色んな役割があるから、チームに必要とされればその世界で生き残っていく事も出来る。それを受け入れて走り続ける選手もいれば、そこで引退していく選手もいる。

 大怪我がつきもののような自転車レース。そこは何とかならないのかな? っていつも思うのだけど、様々な大怪我をも乗り越えて戦っている選手達の生き様を、これからも見続けていきたいと思うんだ。




※ユキヤ:実名。新城幸也。

世界最高峰のUCIワールドチーム十八チームの中の『バーレーン・ヴィクトリアス』に所属して活躍中の選手。


※フミ:実名。別府史之。

世界の五大クラシック、三大グランツール、世界選手権、オリンピックの世界十大ロードレースすべてを完走した元プロサイクリスト。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る