34話 チャラオの甘い生活



 全員を説得した俺。


 翌朝……。


「んんぅ……」

 

 なんとも心地よい柔らかさ、そして暖かさに包まれて目を覚ます。


「ちゃーちゃん♡」

「ママコ……」


 俺の右隣には、義母のママコが笑顔で抱きついていた。

 ふくよかなおっぱいが俺の右腕をがっちりホールドしている。

  

 なんという弾力。柔軟剤を使った洗濯物なんて比じゃないぞ。

 そしてとんでもなく甘い匂いが鼻腔をくすぐる。


「ふふ……♡ ちゃーちゃんのここも、元気ねぇ……♡」


 くりくりと俺の股間の紳士を触ってくるママコ。


「おはよ」


 ちゅっ♡


「おはようちゃーちゃん♡」


 ちゅっちゅっ♡


 ハーレム王となることを決意した俺は、ヒロイン全員と恋人として振る舞い、そして愛すると決めた。


 ママコが義母であろうと関係ない。俺にとっては大好きな女性だ。


 俺たちはちゅっちゅっちゅ、とまるで新婚のように朝からキスを繰り返す。


説得ワカラセ】!


 ……お話の途中ですが、【説得】が発動してしまいました。失礼しました。


「はぁ~……♡ はぁ~……♡ ちゃーちゃーん……♡」


 着衣の乱れたママコはとても色気があり、またしても興奮してしまう俺。


説得ワカラセ】!


 ……お半紙の途中ですが(以下略)。


「あんたねえ! 朝から何やってるのよぉおおおおおおおお!」


 ふとベッドルームの入り口を見やると、仁王立ちした大田ナジミが居た。


「おお、ナジミ。おはよう」

「おはよ……てか、あんたねえ……元気すぎでしょ」


 俺たちのもとへやってくる。

 ママコは二度の説得によってヘロヘロだった。


「すまない。俺のスキル【産土神うぶすながみ】が朝からフル稼働しててな」


 このスキル、産土神は、パッシブスキルのひとつだ。


 スキル取得者の精力・体力を無尽蔵にするという、とんでもないものだ。


 しかも取得者の体調と精神状態によってスキルの効果が上昇するおまけつき。特に朝は紳士が元気になることから、暴発のために何回か説得してる。


「ぐぬ……ママコさんに使うくらいなら、アタシに……しなさいよ……」


説得ワカラセ】!


 ……お話しの以下略。


    ★


 さて俺たちの置かれている状況を説明しよう。


 大乱こ……こほん。

 大説得祭りから一週間が経過した。


 俺はすんでいた1kのアパートを引き払い、アーネの所有するこの高級マンションへと引っ越してきた。


 理由は簡単。

 ヒロイン全員と関係を持つためだ。


 さすがに1kでは狭すぎる、ということでアーネにここを拠点にする許可を取ったのだ。

 ……そしたら、そもそも論としてこのマンションが俺の所有物であることが判明。


 どうやらアーネが俺のために買って、プレゼントしてくれたらしい。


 完全にヒモじゃないの、とは、ナジミの言。

 ヒロインたちはここを半ばヤリ部屋のようにして使っている。泊まるときもあれば、勉強に使ったりもしている。


 この一週間、産土神のおかげもあって、みんなを満足させられている。


 だがまだヒロイン同士での不和はあるみたいだった。


    ★


「お母様、ずるいです」

「……ナジミもずるい」


 ヤリ部屋のリビングにて。


 渋谷家の面々+ナジミが集まって食事を取っていた。

 ママコの作った朝食を食べている俺たち。


「朝は当番制だって決めたのに、どうして順番を守らないのですかっ!」


 マイが言う朝の当番とは、俺を起こす+俺と説得する当番のこと。


 平日の朝は時間が無いと言うことで、個別に起こすことになっていたのだ(人数が増えるとそだけ、時間がかかる)。


「そうよ! 今日はあ、アタシの番なのにっ」

「あらあらうふふ♡ でもナジミちゃんもちゃーちゃんとちゃぁんとしてたじゃない?」


 にっこりと笑うママコ。


「い、いや……それは……まあそうだけど……だから……その……チャラオは独占したいっていうか……」

 

 ちっ、とマイとアーネが舌打ちをする。


「俺のために争わないでくれ」


「「はーい♡」」


 マイとアーネは素直に返事する物の、テーブルの下からどしん、だのどがっ、だのと音がする。


 そおっと下の様子をうかがうと、ナジミの足を蹴っていた。


「ふたりとも……駄目じゃないか。仲良くしないと」


 するとマイとアーネの眼が、ぎらりと光る。

「……ちゃーさま。お仕置き……?」


「え?」


 はぁはぁ……とアーネが荒い呼吸を繰り返す。ぎらついた眼は肉欲に濡れており、俺の紳士をロックオンしていた。


「……ごめんなさい、ちゃーさま。アーネは……悪い子です」


 立ち上がって、アーネは俺の隣までやってくる。


 犬のように跪くと、小首をかしげながら俺に言う。


「……おしおき、してください」


「お兄様……! わたくしもどうか、お仕置きをっ!」


 ばっ、とブレザーを脱いでマイが俺の前に跪く。


「ば、ばか……あんたらこれから学校じゃないのよ! チャラオも相手しなくていいわよ!」


「ああわかった」


説得ワカラセ】!


「はひぃ~♡ はひぃ~ん……♡ だからぁ……ワカラセなっくっていいんだってばぁ~……♡」


 産土神を得た俺にとっては、二度三度、四度五度の説得なんてお手の物。


 ママコの姿が見えなかった。


 スマホには【学校があるから先にいくわね♡ 出席は気にせず♡ こっちで根回ししておくから♡】とあった。


 身内に学校の先生がいると大変、都合が良いのである。


~~~~~~~~~~~~~

★ ■■■視点


 気がつくと何もない白い空間に居た。何が起きてるのか最初全く理解できなかった……。

 だが目の前に現れた、モノリスから、真実を聞き、そして使命を与えられた。


 使命。それは……渋谷チャラオに対して修正プログラムを投与すること。


 ……最初、何を言ってるのかさっぱり理解できなかった。


 だが次第に自分の置かれている立場を理解した。


 やらねば、ならない。たださねば……ならない。


 この世界ゲームを、あるべき姿に戻すという運営の考えに、いたく共感した。


 そう……今の世界は間違っている。この世界は健全であるべきなのだ。


 渋谷チャラオ。おまえは間違っている。私は……おまえを粛正しなければならない。


 ほかでもない、私が。

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