注射

上半身の、左側。

喉の近く、肺のすぐそば。

そこが、ドクドクしている。

どく、どくと、不気味に思える程

ずっと動いている。

少し早くなって、またずっと動いている。

次は肺と肺の間、

真ん中の辺りが少しギュッとする。

ぐっと上から押されたような

圧力を感じる。

次第に喉も渇いてきて、

唾を飲み込む時クッと引き攣った。

脳があれこれと山ほど考え、

手があれこれと忙しなく動き、

それらは宙をかき、

消えて終わりと共に

そこにあったことさえ忘れられて

すっかりと消えてしまう。

いや、知らぬ間に

もう既にそこになかった。

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