No.3 ストーカー(後編)
「ただいま~!」
ドアを閉める。
この時間ならお母さんがいるだろう。
「お母さん、明日部活で遅くな、、、!?」
ぐちゃぐちゃ
ぐちゃぐちゃと普段ではあまり聞かない音が聞こえる。
とても耳障りだ。
「えへへ、、、。」
お母さんの部屋から少し声が漏れている。
まっ、まさか、、!
「お母さん!」
「ひっ!」
そこには大量の血がこびりついていた。
そして見慣れない男がいる。
そんなことよりお母さんは、、、
顔が見れないほどひどい顔をしていた。
胸あたりにナイフがさしてある。
「さ、つじんき、、?」
私の大事なお母さんが殺された。
離婚しても明るく一人で私を育ててくれたお母さん。
反抗期でも見守ってくれたお母さん。
そんなお母さんが死んでるなんて、、、・
『許さない』
「美緒、おかえりなさい♡」
「ふざけんな!なんで、なんで私のお母さんを殺した!」
「殺人鬼、人殺し、許せない!」
頬に水が垂れてくる。
泣いてしまった。
こんなところで泣いたら力が入らなくなる、、、。
「え~だってさ~美緒を守るためにやったんだよ~!」
「てかさ、僕のこと殺人鬼って言ったよね。」
「僕はこんなに君を愛しているのに!」
ますます意味が分からない。
愛してるのになぜ殺した。
思考している間にも殺人鬼は迫ってくる。
鈍器を持ちながらニタニタを笑っている。
「私も殺すんでしょ!」
「近づかないで!」
台所で奪ってきた包丁を突きつける。
こう見えて私はバスケ部で運動神経はいい方、頑張れば対抗できる。
でもできなかった。
「な、なんで。」
体に力が入らない。
この力じゃ教科書一冊持つのも難しい。
包丁なんて持てない。
「あっ、、、。」
包丁が私の足元へ真っすぐに落ちていく。
そして、、、。
「いったぁ!」
まさかのまさか、足に落ちた。
足の甲から血があふれる。
ふざけないでよ。
私は殺人鬼をキッと睨むと、、、
「嫌だなぁ♡殺す気なんてさらさらないのにぃ」
、、、会話が遅れてる。
その質問答えるまでに三回ぐらい話したんだけど。
思わず拍子抜けしてしまう。
「じゃあ、何がしたいんですか、、、。」
「それは後でのお楽しみ♡」
プシュー
スプレー缶をちょくに当てられる。
き、きもちわるい。
頭もくらくらする。
視界が揺らいで、、、倒れてしまった。
「しばらくそのまま眠っててね♡」
ー-------------------------------------
「、、ん!」
頭がガンガンする、、。
「おはよう。美緒♡」
「ひっ!」
「驚いてる顔も可愛いね♡」
「す、ストーカーさんですよね、、、?」
「あ!僕って認識されてたんだー。」
「あんなに手が送ってても返事1つ来なかったからさー!」
「嬉しい♡」
「こ、こどこ?」
天蓋付きベッドに大きなドレッサー。
お姫様にでもなった気分だ。
「ここは美緒の部屋。」
「隣の部屋は僕だから安心してね♡」
ちっとも安心できないが、今はそんなこと気にしてられない。
「お母さんは!晴翔君は!」
「晴翔君に会いたい!」
「あー。そのお願いは叶わないかな。」
「だって僕が晴翔君殺したし、」
そう言って差し出されたのは目玉がくりぬかれている晴翔君だった。
この藍色髪はきっと晴翔君。
信じたくない。
けど現実はそうだった。
「晴翔君さ、死ぬ前にこう言ったんだよ。」
「『美緒、愛してる。』ってさ!」
「可笑しくて笑っちゃうよね~!」
「愛してるのは僕なのに!」
晴翔君の髪の毛で遊んだこと。
一緒にショッピングしたこと。
晴翔君の試合を見に行ったこと。
楽しかった思い出がよみがえる。
「あははは♡泣いてる顔も可愛いよ♡」
「大丈夫。これからは何不自由ない生活を送れるから。」
「愛してるよ。美緒♡」
そういった貴方の目は揺ぎ無く、出られないことを悟ってしまった。
end
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます