24 愛について(1)
一日の終り
眠りに就く前のひと時
愛がひそやかに近づき
静かな椅子に僕を誘い
とっておきの問いを出す
愛ってどんな事かわかる?
問いは痛切に胸を刺すが
僕には無論わからない
わからない と答えると
愛は一跳び側を離れ
身を屈めて僕を窺う
白鳥を踊るプリマドンナのしぐさで
本当にわからないの?
立てた爪先を小刻みに動かしながら
湿った声で愛は尋ねる
ああ、わからないさ!
僕は苦しさに耐えかねて叫び返し
愛を手中にしようと足を踏み出す
爪先立って両手を上げ
小刻みに震え続ける愛は
羽よりも軽やかに
僕の腕から脱けていた
気がつけば愛は
透けてしまった腕を
僕の首に巻きつけ
透明な瞳に涙を湛え
僕の頬に
同じ言葉を囁き続ける
可哀そうな人 透明な私しか抱けない
あなたの心が枯れているのよ
私を摑むには弱すぎるの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます