19 海 ―― 下関にて

ゆるやかに客船が進む

セカセカと漁船が進む

鋼鉄の橋が架かる

コンクリートの堤が付き出す

人間どもが汗水を垂らす

釣り糸を垂らす


海よ

永遠なその蕩揺


波うつ緑色の

巨大な羊羹の中から

時折り発せられる

原始からの音信


お前の運動の

質量と時間に

人は耐えられるか


雲が厚く低く降りる空の

灰白の広がり

それだけが

お前と拮抗する


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