9 退行

あの頃は

僕はまだ透明で

母の胎内の温かみを

そのまま持っていて

餅みたいに柔らかだった


陽射しが膚にまといついて

生毛がキラキラして

背中にぬくもりの玉が転がり 友達と

眩しい川面を見ていた 木の橋の袂

川面の反射光が

僕と友達の紺の上衣に

縞になって揺れていた

明るく暗く〳〳


あれは幼稚園に通っていた頃

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