転生兄弟(兵士の息子達)
夜山 楓
第1話/父が殉職しました
晴れ渡る青空の中、悲しみに満ちた合同葬儀が行われた。
焼却の黒煙が上る墓地に騎士や兵士が整列し、貴婦人が泣き崩れる。更に外側には平民兵士の家族が広がっていた。
更にその外側には、木に吊るされた小さな男の子と少し大きな男の子。
小さい方の男の子は顔をぐっちゃぐちゃにして土のついた顔で泣いていた。
少し大きな男の子は少し上にある頭を撫でて、宥めながらも悲しみに瞳を濡らしている。
小さな男の子は周囲の静止を無視して貴族のいる間を抜けて焼却炉に行こうとし、兵士に捕らえられて木に吊るされた平民兵士の遺族。隣の男の子はその兄だ。
黒煙が消えた後に殉職者達は一つに埋葬され、集った遺族らは三三五々に家へと帰って行く。
吊るされた少年は捕らえた隊長兵士に解放されて、家に送られた。
「孤児院に行くなり、兵舎の下働きになるなり、決心がついたら兵舎に来いよ。元々俺らは遺した家族の面倒をある程度みるって取り決めしてんだ。じゃあな、また来る」
兄が力強く頷くと、隊長は「偉いな」と呟いて頭を撫でた。
泣き濡れる弟の顔を布切れで拭い、「もうゆっくり休め。貴族のところに突入するのは止めるんだぞ」と声をかけて立ち去った。
ふぅ、と兄は大きく息を吐き、弟を促す。
「とりあえず、飯食うか」
水桶からボウルに水を注ぐと手拭いをつける。
「手ぇ洗って、顔も洗え」
顔を拭きながら放つ言葉はくぐもっていた。
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