第19話 危険な夜道

次の日、バイト先での事―――




グイッと肩を抱き寄せる人影。



「きゃあっ!」

「なあ、優奈」

「ゆ、雪渡っ!?な、何?」

「俺と絡みなくて淋しかったのか?」

「はっ?何言って…それはあんたでしょう?」

「…そうなんだよな…実は…」




ドキン



「えっ…?」


「なーんて言ってみる?」



イタズラっらぽく笑う雪渡。



「なっ…!」


「真に受けんなよ!バーカ!」




バシッと抱き寄せた肩の手を打つ私。



「痛っ!!何すんだよ!」

「セクハラ!」

「はあぁぁぁっ!?そっち?」

「馴れ馴れしく触るなっつーの!意地悪するのも含めて打ったけど!?」



その日の夜―――――



「優奈、お疲れ!」

「えっ?ゆ、雪渡!?何してんの!?」




先にバイト時間が終わり、帰ったはずの雪渡が何故かいた。




「ちょっとな」

「そう?」

「なあ、ちょっと付き合ってくんね?」

「えっ!?今から?」

「今から」



そう言うと私の肩を抱き寄せ、そのまま歩き出す。



「ちょ、ちょっと!」

「そのまま歩くんだ。お前に確かめたい事があんだよ!」


「確かめたい事?」

「正直に答えろ!」

「…雪渡?」



抱き寄せられた体との密着感。


違う意味でドキドキしてしまう。


慣れない感覚に胸もざわつく。




「昨日も聞いたけど本当に何も変わった事ねーの?」

「えっ?うん。ないよ」


「じゃあ、単刀直入に聞くけど、後つけられてるとか?自分の身の回りとか身近に…」


「…それは…」


「あるんじゃん!それを聞いてんだよ!」


「でも実際に確認してないし気のせいかな?って…思って…」


「それ、気のせいじゃねーから!」




ドクン…



「えっ…?」



私達は足を止めた。




「最近、店の近くで、良くお前を待ち伏せしている奴を見掛けてて、昨日もいたんだよ。だから、お前に気になって電話したんだよ!もし、ストーカーだったらタチ悪いし、お前の命まで危険に晒(さら)される」



「………………」



「…雪渡…」




――― だけど ―――




「…彼女から…」




ビクッ



「…離れてよ…」




「えっ!?」


「…俺の…彼女から…離れてよっ!」




雪渡に襲いかかって来た。




「うわっ!」

「きゃあっ!」



「…俺の彼女って…意味分かんねーし」



男の人は、とにかく雪渡に襲いかかって交わされる中、バランスを崩し、ドサッと地面に転がり雪渡は男の人は押さえつけた。


周囲の協力で、男に人は警察に連行された。




「…大丈夫?」

「…う…ん…」




雪渡は歩み寄り、私を抱きしめた。


ドキン




「令ニさんに連絡しな。帰るには難しいだろう?」


「…店に…令ニさんと…オーナーが…明日の…仕込みするって…まだいる……と思う…多分…」




私は連絡をする事にした。




電話に出たのは、オーナーだ。




「優奈です……えっと…」



さっきの恐怖感から言葉が出ない。




「優奈ちゃん?どうかした?令ニに変わろうか?」

「いいえ…えっと…」


「優奈。代わりな。…すみません。お疲れ様です。雪渡です」




雪渡は、私の様子を見ては気になったのか、私を抱き寄せる。


私は雪渡に顔を埋めた。



「…お疲れ様です。事情があって今から、そちらに行きたいんですけど大丈夫ですか?はい、分かりました。それでは、向かいます」




私達は店に戻り、さっきの事件を雪渡が話をしてくれた。





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