第15話 シンデレラ
それから数ヶ月が過ぎ―――12月
裏にゴミ捨てに行くと空から雪が降ってきた。
「…雪…12月だもんね…彼氏いない歴も、また一年増える…」
「可愛い系な割には…」
ビクッ
突然の声に驚く私。
「彼氏いないんじゃ、こんな寒い12月の冬なら、もっと心も淋しくなるよな?」
振り返ると雪渡の姿。
「…雪渡…」
「もったいなくね?」
「どうせ恋愛してる暇、全然ないから」
「大借金抱えてるもんなー?」
嫌味っぽく、イタズラっぽい笑みを見せる。
「あー、そうですよ!悪かったなっ!…あれ…?つーか…私、話したっけ?」
「ちょっと小耳に挟んだ。みんな知ってるし。つーか、みんな色々あるからな」
「そうなんだ」
「…でも…お前は、最後は、HAPPY END になるべくしてなる為に生れてきた女の子」
「えっ?」
「おとぎ話で言うと……シンデレラ?」
「シンデレラ?」
「上のお姉さん達に意地悪されて魔法でダンスパーティに行くシンデレラは、王子様とハッピーエンド」
「省略しすぎ!雪渡って…ムカつくけど、時々、良い奴になるよね?」
「えっ?」
「いつも言い合っているけど優しい所あるから調子狂う。つーか、クリスマスイブとか、みんな本彼女(カノ)いるんだよね?」
「いや…案外みんな、いないもんだぜ?」
「えっ?嘘だーー」
「雪渡ーー、指名!」
「了解!すぐ行く!」
雪渡は去って行く。
私も店の中に入った。
「そういえば、シンデレラって…?…雪渡、すっごい省略していたけど…実際、どんな内容だったっけ?おとぎ話とか童話とか、もう随分昔の話だから忘れちゃったよ」
私は後で調べてみる事にした。
―――シンデレラ――――
父親と二人暮らししていた所に、再婚相手とその娘達に意地悪をされていた。
それは…シンデレラが美しい女性だったから。
「再婚相手!?シンデレラって美しい女性だったんだ」
お妃を見つけるために舞踏会を開き王子様が招待状を町へ配布。
しかし、再婚相手や、お姉様達は、舞踏会の事を言わなかった。
シンデレラが美しい女性だったと知っていたから。
「本当、意地悪だ。再婚相手と義理のお姉さん達。わただったら、やりあってそう」
妖精が魔法で、かぼちゃの馬車とドレスなど一式用意してくれた。
「妖精!?えっ!?妖精が魔法かけたんだ!へえー…妖精って…ピーターパンのティンカーベルのイメージしかなかった」
魔法の靴。
魔法は12時で切れてしまう。
「これは正直、記憶にある。クライマックス手前の内容になる。後は、大体の流れで何となくだけど、分かる気がするけど…」
より詳しく見れば色々分かるんだろうけど……
「シンデレラ……か……」
「………………」
「妖精さんがいるなら私も恋の魔法かけてもらいたい…恋が出来るように……」
こんな私にも恋愛なんて
出来るような事あるんだろうか?
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