第27話 私の胸の大きさを馬鹿にした子爵を粉砕・不能にしました
ということで我々はハインツェルの王都を出発した。目指すは元王都オーバードルフだ。
お兄様とお姉様の一団は両巨頭を中心に意気揚々と出ていった。
一峯の私の軍は・・・・どんよりしていた。
特に第三騎士団のボケ共が・・・・
後ろから宝剣で叩いてやろうかしらと思った途端、
「エルヴィーラ様。それだけはおやめ下さい」
慌てて第三騎士団長が飛んできた。
「じゃあ、もっと胸張りなさいよ。何故、そんなに私を気にしているのよ」
そうだ、先頭に立っている第三騎士団の連中はなぜか、後ろというか私をとても気にしているのだ。
私の身の安全を気にしてとか言っているが、絶対に違う。
「間違えて、後ろから不能剣振るの止めてくださいね」
ヘルマン第三騎士団長が言う。宝剣を捕まえて不能剣ってなんだ?
戦神が知られたら怒られるのは確実だ。
「さあね、機嫌が悪くなったら、間違ってやっちゃうかも」
私が言うと
「すいません。お願いだから、冗談言うのも止めて下さい」
「冗談じゃないんだけど」
「ヒェぇぇぇ」
おいおい、味方に悲鳴あげてどう済んだよ。
フェルは騎士たちが私を怖れているのを見て、何故かとてもご機嫌だ。
何でこいつ笑っているんだ?
こいつ絶対に面白がっていやがる。
私はムッとした。
そんな中、
「前方にホフマン子爵の砦が見えてきました」
斥候が叫んできた。
ホフマン子爵、このあたりでは一番大きな砦で、建国の時は激戦になったところだ。
武のほまれ高いホフマン子爵は、何代も騎士団長を輩出している家柄で、我軍の軍門に下るのを好しとしていないらしい。
我軍は敵の弓の射程外に陣取った。
まあ、たかだか500くらいだ。第三騎士団ならそれほど時間をかけずに占拠できるだろう。
私が楽観した時だ。
「ふんっ、総指揮官は出来損ないの姫だと、我々も嘗められたものだな!」
大音声が砦から響いてきた。
「何だと!あの野郎!」
何故か私よりもフェルが切れている。
そこは私が切れるところよ!
「儂は騎士団に所属する事30年のホフマンだ。出来損ないなど片手で相手してやるわ。女の魅力でバルチュ侯爵令嬢に負けた腹いせに、王太子殿下を不能にするなど女の風上にもおけぬ奴よ。顔が酷くて外も歩けないそうじゃないか」
「あいつ、もう殺す!」
フェルが突っ込んで行こうとするなか、周りが必死に止めていた。
私はそんなこと言われてもびくともしないんだけど。出来損ないなんて領地にいれば皆、影で言っているし、顔が酷いとか、それもよく聞く。
「まあ、フェル、おっさんには好きに言わせておけば」
私は大人の対応した。
「な、なんと事実だから怒れないのか?」
おっさんはバカにしきった顔をするが、挑発しようとしても無駄なんだよ。
脳筋相手に真面目にやっていては馬鹿だ。
「ふん、胸が小さいと根性も小さいな」
「な、何ですって」
私は次の瞬間激怒していた。む、胸のことに触れるなんて。
「えっ、エル!」
「もう一度言ってみなさいよ」
胸の大きさだけはバカにされたくない。
「ふんっ、何度でも言ってやるわ。ペチャパイ!」
おのれ、あろうことか私をペチャパイと呼ぶとは。
「もう許さん!」
私は宝剣を抜いていた。
「ヒィィィィ!」
「全員伏せろ」
第三騎士団の連中が一斉に伏せた。その上を私の怒りの宝剣の一振りが通りすぎたのだ。
凄まじい閃光と衝撃が砦を襲う。
光と煙が消えたあとには300年の歴史のある砦は、瓦礫しか残っていなかった。
そして、500名もの重傷者が・・・・。
彼らがどうなっていたかは言うまでもない。
「ふんっ、私をペチャパイなんて呼ぶからよ」
仁王立ちして私は言い切った。
私の言葉に何故か皆100メート以上距離を取っていた。
厄災姫の胸のことは死んでも触れるな、これが我軍の不文律になった瞬間だった。
これ以降、私は出来損ないと呼ばれてもペチャパイと呼ばれることは二度と無かった・・・・。
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剣聖や大魔術師に殺されるか、厄災姫に不能にされるか・・・・
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