第2話 木曜日午前8時45分
出社すると、デスクの下にラグが敷かれていた。
ところどころ角の目立つ、変わった形の白いラグだ。
「おはよう。今日は遠足日和だよ。」
足元から能天気な声とゴツンという鈍い音。彼の頭上から花が散る。
花がラグをさらに広げた。
「そんな目で見ないでよ。照れちゃう。」
頭をさすりながら机の下から這い出た彼の手には大量のラグの残骸。あと15分で始業だから遠足の片付けを、と僕は彼を急かす。
「まぁいいじゃない、昼休みにコーヒー奢るよ。」
彼はラグの残骸……正しくは散らかした書類の束を僕に持たせると、いそいそと書類を拾い始める。誰も手伝うとは言っていないのだが。
「カフェドクラゲの新作、飲みたいもの。」
会話は成り立たない。彼の拾う書類で僕の腕の中に白い山が築かれてゆく。
僕の抗議は山にはね返って戻ってきた。
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