第165話 出禁ルシフェルと料理を楽しむアーノルド!
いつものように、仕事を終えて二人で、憩い亭に向かうのが日課となってるアーノルドとルシフェル。今日もアニカを密かに見守ろうの会会長と副会長として、行かねばならんのだと意気込みながら人気のない場所で転移する。
「今日のアニカちゃんは、どんな可愛さを俺達にくれるだろうか?」
「そうですね〜まずはあの笑顔、そしてあの小さくて守ってあげたくなる容姿ですね。見ているだけで、ライス3杯は食べられますよ」
どんどんアイドルを追いかけるオタクと化していく二人。だが、対象の年齢がまずいのだが、異世界である為、全く言って規制はないのだ。
「今日も、うまい料理を食ってアニカちゃんを見守って、1日の締めを楽しむぞ」
「見守りに行きましょう」
話しながら店のドアを開ける。開けると、「いらっしゃいませ」と元気よくアニカの通る声が聞こえてきて、二人は店にやってきたなと実感して自然と笑顔になる。
「アニカちゃん、元気にしてたかな?今日も頑張っていて偉いねぇ」
見守ろうは、どこへやら。いきなり話しかけるルシフェル。
「今日も、ルシフェルおじちゃんとアーノルドおじちゃんありがとうなの」
「ルシフェルおじちゃんが、撫でてあげよう」
「ルシフェルおじちゃん、ごめんなさいなの。お客さんに呼ばれちゃったの」
撫でようとしたら、危ないと思ったグラデュースがアニカを呼んで注文をする。ルシフェルは、グラデュースを睨みつけて「ぐぬぬ」と変な声を出す。周りは、最近危ない人と認識して二人を見ているのだ。
「ルシフェル来たばかりですよ。まだまだ夜は長いのですから、そんなイライラしないで下さい」
「そうかぁ。まだまだ夜は始まったばかりではないか。とりあえず、見計らって注文するぞ」
見計らうとは、アニカがフリーの時を狙って注文することである。
「そうですね。それより、何を注文しましょうか?トマト料理で食べていないのは...鶏もも肉としめじのトマト煮はまだ頼んだことありませんよね?これにしませんか?」
「それにしよう。アニカちゃーん。注文お願い」
店内に日々渡るような声で叫ぶルシフェル。
「は~い!お待たせなの」
「アニカちゃん、良ければ今度城にこないかい?城を案内してあげよう。泊まっていけばいいからね」
「パパに聞かないとわからないの。それより料理は何にするの?」
日頃から知らない人について行ってはダメだと言い聞かせているので、やんわり断るアニカ。アニカの中で、ルシフェルとアーノルドは、知らない人の分類に入るようだ。
「うむむ!親に聞くのは大事だもんな。仕方ない。鶏もも肉としめじのトマト煮を頼むよ」
「わかったの。ちょっと待っててほしいの」
「ちょっと待って...あ!行ってしまった...」
アニカは、わざと逃げたわけではなく、これが素なのである。それにしても、気持ち悪いと周りが一斉に思うのであった。
そこに、拓哉がやってくる。
「ルシフェルさん、すいませんが当分の間、出禁です。流石に、アニカに対しての異常なまでの執着心が怖いです。周りを見てください」
ルシフェルが、周りを見ると睨みつける人や引いた顔をする人など様々いた。
「俺は何もしていない。密かに見守ろうとしていただけだ。それに何故、アーノルドは出禁にならないんだ?」
「もう正直に言いますと、毎日毎日いちいち声をかけて引き留められると仕事にならないんですよ。アーノルドさんは、まだ分別がありますよね。ルシフェルは、ただの変態で気持ち悪いんですよ。ちなみに、アーノルドさんも酷いようなら出禁にしますからね。桜花、逆恨みされても面倒だから幻術で素直になるようにしてくれないか?」
「わかったんだよ」
桜花が、ルシフェルに向かって呪文を唱えて幻術をかける。
「俺の俺のどこが気持ち悪い...あれ?俺は何をしているんだろうか?あ!アーノルド俺は急用があるから先帰る」
そう言うとドアを開けて出て行くルシフェル。
やっと変態が消えたことで周りから拓哉を称賛する声が聞こえる。アーノルドは、自分も出禁になったらまずいと思い姿勢を正す。
「拓哉さん、大変失礼致しました。鶏もも肉としめじのトマト煮を頂けますか?」
「はい!少しお待ち下さいね。アーノルドさん、もし娘に手を出したら殺しますよ」
普段見せないような鬼のような顔に恐怖するアーノルド。これは、本当にだめなやつだと実感するのであった。
暫くして、拓哉が料理を持ってやってくる。
「鶏もも肉としめじのトマト煮です。熱いのでお気をつけ下さい」
真っ赤なソースに鶏としめじがいっぱい入っている。
「これは、トマトの香りもいい。じゃあ早速頂きましょう。う、うまい!トマトの濃厚なスープ。それに、何かを入れたことによって更に深みが増したスープ。それから、程よい脂の乗った鶏に、見たことないキノコが、このスープと合っていて食欲を掻き立てています。でもそんなことは、どうでもいいのです。とりあえずうまい」
アニカのことを、この時は忘れてバクバクと食べる。普段食することのない美味な料理に舌鼓をうつのであった。
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