第139話 黄金のボーンスープ完成!
今日は、約束だったボーンのBoneで出汁を取る日である。
朝から厨房にボーンが来てくれている。
「ボーンさん、おはようございます。俺の興味に付き合わせてしまってすいません」
「おはようございます。何を言っているんですか。 以前言いましたが、私も自分の骨の出汁に興味があるんですよ。ノーライフキングの出汁は世界初でしょうな」
そりゃ世界初だろう。ノーライフキングが、鍋で自分の骨をグツグツ煮込んでいたら笑ってしまうよ。
「ボーンさんは、ここへ来る前に自分の骨で出汁を取ろうとしたことはなかったのですか?」
無限出汁ループを構築できるじゃないかと考えた拓哉。 今日は肋骨。明日は上腕骨。明後日は肩甲骨みたいに。
拓哉が、どれほどサイコパスなことを言っているか本人は気づいていない。
「ないですないです。だって、食べなくても魔力があれば死にませんからね。ノーライフキングになってから食事をしたのも、ここへ来てからですからね。 今日は、未知の体験にワクワクしていますぞ」
「あ!そうでしたね。食事をしなくていいと言っていましたね。 俺も、未知の体験にワクワクしています」
フッフフフと笑う怪しい二人がそこにはいた。
「早速、出汁を取りたいのですが、取っても大丈夫で魔力が豊富な骨を頂けますか?」
「本来なら頭蓋骨が1番魔力があるのですが、流石に熱いの嫌なので肋骨4本くらいで許してくれませんかね?」
熱さを感じることよりも、プカプカ浮く頭蓋骨が急に振り向いて赤い眼光と目が合う想像をして恐ろしくなる拓哉。
おぬし達、恐ろしいことを話しておるのぅby神様
「肋骨4本貸してください」
「どうぞ」
人体骨格模型のようにパコパコと簡単に外すボーン。
「本来、牛骨だったりすると血肉などがついているので、重曹を入れて一回煮出して骨を綺麗にしたりするのですが、軽く洗って骨と玉ねぎで最初から煮てみましょうか」
本来は、何回も煮て骨の中や無駄な脂を落とす作業や一晩寝かせて灰汁取りなどをする必要があるが、ボーンの骨はツルンとコーティングされたような綺麗な骨であり、試しに一発目から出汁取りをしようと考えた拓哉。
「このまま、コトコト煮込むだけですね。 本来ネギやガァリク(にんにく)や生姜を入れるのですが、臭みとかないでしょうし玉ねぎだけで甘みのあるスープにしましょう」
成功するかはわからないが、とりあえず初のノーライフキングの出汁なので、一旦これでスープを取ってみる。
それから1時間経っても2時間経っても灰汁が一切でない。
「何故か灰汁が一切でないんですよね。スープもどんどん黄金に輝きだしてますし。試しに飲んでみますか?」
普通は、灰汁がどんどん出るはずが、透き通った黄金のスープになっている。
「飲んでみましょう。 私の出汁がどのような味なのか?」
なんかその私の出汁って言葉で一気に飲む気がなくなるからやめてと思う拓哉。
小皿にボーン出汁ならぬボーン汁を入れて飲む二人。
ゴクリッ...
「う、うまぁぁぁい。この滑らかな舌触りに口に入れた瞬間、旨味という旨味が押し寄せる感じ。それに、脳天を突き抜けるビビッとくるうまさ。まさに、神のスープと言っても過言ではない...ボーンさんこれ凄くないですか?」
食べた瞬間、身体中に電気が走ったような美味さと口いっぱいに広がる濃厚なうまさに拓哉は神のスープと評す。
「これが...私の味ですとぉぉ! おぉ神よ、私は食材の為に生まれてきたのですか?ノーライフキングとは食材だったのですね。今日から大人しく冷蔵庫の主となりましょうぞ」
バチコ〜ン!
「ボーンさん、現実に戻って来てください。冷蔵庫を開けてボーンさんがいたら毎回発狂しますから! でも食材と言ってもいい美味さでしたね。これは、手を加えるよりそのままスープで味わってもらいたいです。それか、なにも具を入れずうどんを入れて素うどんにすべきですね」
この黄金スープに他の具材は愚の骨頂だと思う拓哉。 無駄な物は一切いらないスープである。
「これは、どこまでおいしくなるか気になりますね。このまま、研究して最高のスープを提供してください。私は、スープ名を何か考えておきますかね...ボーンさんの...骨身に染みる...」
なんか一気に食う気を削がれる名前を考え出すなぁと思う拓哉。
だが、更に昇華させたスープ作りの方が重要で変な名前などどうでも良くなっているのであった。
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