第48話 大人も子供も大好きな料理!

魔王城


「今日は私も行きますわよ」


「お父様、アニカとラリサから聞いたんですけど、食べたい物があるのですわ」


ベアトリスは、2人と仲良くなり呼び捨てで呼ぶようになった。


ヴィクトリアとベアトリスが言う。


「わかったわかった。アニカとラリサも連れて行くからすぐ準備してきなさい」


18時 憩い亭


カランカラン


「「いらっしゃいませ」」


拓哉と桜花が言う。


「お父さん、ただいまです」「パパ〜ただいまなの」


ラリサとアニカが言う。


「2人ともお帰りなさい。皆さんもお揃いでお久しぶりですね」


「妻と娘が、どうしても行きたいと言ってな。 俺はいつもの冷酒を頼む。 娘が食べたい物があるみたいでな。それを人数分頼む」


「ベアトリスさん、食べたい物とはなんですか?」


「2人から聞いたのですが、かれーらいすを食べてみたいのです。2人がゴロゴロしたお肉に野菜にいっぱい具材が入ってて、スープも絶品だって言うんです」


あ〜家族になった記念で出した甘口カレーだな。 ラリサとアニカは、そんなに気に入っていたのか。


「ちなみに、ラリサとアニカに出したのは甘口カレーでして、ベアトリスさんは辛いカレーか甘口カレーどちらがいいですか?」


「甘いかれーらいすがいいです」


即答だな。 でも甘いわけではないんだけどまぁいいか。


「わかりました。 ヴィクトリアさんとヴァレリーさんは、辛いのでいいですか?」


大人に対しては、流石に甘口は出せないので聞く。


「俺は、辛いのでいい」 「私も辛いのでいいですわ」


ヴァレリーとヴィクトリアが答える。


「では、お席に座ってお待ちください。 先に飲み物お持ちしますね」


桜花と拓哉は厨房に行く。


「桜花、冷酒とアップルジュースを3つ持って行ってくれるか?」


「わかったよ」


桜花が飲み物を持ってホールに行く。


「お待たせしたんだよ。 冷酒とアップルジュースだよ」


「貴女が、桜花ちゃんね。 とてもかわいいわね。 拓哉さんをモノにするのは誰かしら。ラリサちゃんもベアもウカウカしてられないわね」


揶揄(からか)うヴィクトリア。


「ヴィクトリアさん、やめてくださいよ。もぉ〜」


「お母様、何を言っているのですか?」


ラリサとベアトリスが反論する。


「負ける気はないんだよ。 絶対勝つんだよ」


桜花は意気込んで言う。


「ふふっ、おもしろくなりそうだわね」


楽しむヴィクトリア。


「娘は誰にもやらん。ではなかった。 ヴィクトリア、そのくらいにして頂こうではないか」


ヴァレリーがヴィクトリアにお酌する。


グビッ


「あら、これはお酒なの? 爽やかでスッキリしていて呑みやすいわ。 ついつい呑み過ぎちゃいそうだわ」


「そうだろう。 これ以外にも、ビールやらウイスキーやら色々あるんだがうまいぞ。ここでしか呑めんからな」


ヴァレリーが得意げに言う。


「貴方...私に黙ってこんなおいしい物を毎晩呑みに来ていたのね。 次からは私も行きますからね」


顔は笑っているが、後ろに般若が浮かび上がっている。


「そ、そうだな。 次からは家族みんなでこようではないか」


ちくしょう...俺の馬鹿野郎! せっかくの1人の時間をいらん一言で。 


後悔するヴァレリー。


「りんごの味がしますわ。 冷たくて甘酸っぱくておいしいです」


「ベアお姉ちゃん、まだまだいっぱいおいしいジュースあるの」


「ベアお姉様、ミンカ(みかん)のジュースがオススメですよ」


アニカとラリサが言う。


「是非飲みたいです。 あとで頼みましょう」


姉妹のように楽しく話す3人。


そこへ拓哉がカレーを持ってやってくる。


「お待たせ致しました。 カレーライスです」


目が点になる魔王一家。


「うむ。いい匂いはするが...これはう○こではないか?」


「貴方、ストレートに言い過ぎだわ。 でも少し見た目が...」


お前ら食い物に、その例えやめんかい。

心の中でツッコむ拓哉。

そんなことはお構いなしに、アニカとラリサが食べる。


「おいしいの。 やっぱりこのスープとライスが合うの。お肉と野菜もカレーの味がしておいしい」


「久しぶりに食べましたが、やっぱりおいしいですね。 野菜の味とお肉の味が濃厚なスープに滲み出て、ライスに合います〜」


おいしそうに食べる2人を見て、ベアトリスは一口食べる。


「ん〜〜おいしいですわ。 見た目に反して味は素晴らしいです。 そこまで辛くないのにしっかり香辛料の味がして、あまり好きではない野菜もスープの味と煮込まれた野菜の甘みがあって凄くおいしいです」


ベアトリスの反応を見て、意を決して食べるヴィクトリアとヴァレリー。


モグモグモグ


「ふぁ〜〜おいしい! 辛いのにライスの甘みと合わさってどんどん食べたくなるわ。 このドロッとして濃くて辛い味が病みつきになるわね。 赤いのも(福神漬)シャキシャキして甘酸っぱいくて、口の中がスッキリするわ」


「ほぉ〜ベアの言う通り見た目に反したうまさだな。 全てが絶妙なバランスで癖になる味だ。 この辛さのせいか、どんどん食が進むな。 見た目に惑わされて躊躇したことが恥ずかしい」


「見た目はよくないですが、味はうまいでしょ。 カレーはこれ以外にも色々種類がありますから、またよかったら注文してください。 オススメは牛すじカレーですね」


「おかわりもらってもいいか?」


「私もよろしいかしら?」


それをきっかけに、全員がおかわりを要求する。


「わかりました。 少々お待ちください」


「ワシもかれーちゅうもんをくれんかのぅ」


「俺にも頼む」


カレーの匂いにやられたのか、バルトも小次郎もカレーを頼む。


「わかりましたよ。 お待ちください」


その後来たフェンもボーンもカレーを頼むのであった。


拓哉が思わず口に出す...足りるかな?ボソッ

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