合流
Side 木里 翔太郎
合流地点の旧自衛隊の駐屯地。
激戦を逃れたのか施設はほぼ無傷。
避難民用のキャンプや施設などは置き去りにされていた。
恐らくは戦況の悪化や核兵器の使用により、避難民達と一緒にそのまま放置されたのだろう。
物資は空だ。
重要資料らしき物もない。
電源設備などは破壊されているが、整備班によると軽い応急処置で復旧できるとのことだ。
それよりも――
『この通信を聞いていると言う事は無事に目的地に到着できたと言う事だね。迎えを寄越すのでそこで待機していてくれたまえ』
外見年齢からは想像できない偉そうな感じのプレラーティ博士の通信が入ってきた。
とにもかくも待機しなければならないがイヤな予感はしていた。
戦闘準備だけはしておこう。
☆
この駐屯地の格納庫を借りて戦闘準備。
資材は殆ど持ち去られていたが、野晒しでやるよりかはマシだ。
俺は元々はただの学生だったが、最前線に長く居すぎたせいで簡単な整備ぐらいは出来た。
手毬だけでなく牛島さんや和泉さんも手伝っている。
「資材も底をついての整備ですから後一回が限度ですね――」
「まあそんなもんだよな」
整備班の少年とそんな事を喋っていた。
「ネイキッドの方(手毬 サエと牛島 ミクが使っている奴)の方が深刻ですよ。最悪、次の戦闘では零戦や富嶽で出て貰うことに・・・・・・手毬さんは待機になるかと」
「アインブラッドタイプも基本ワンオフだからな・・・・・・」
俺と和泉さんが使っているアインブラッドタイプはワンオフ。
整備するための資材は少々手間なのだ。
性能が高いので使い倒していたが限界だそうだ。
今迄よく持ったと考えるべきか。
☆
夜中。
自衛隊基地で俺達は防衛戦を行っていた。
とにかく四方八方から襲い掛かってくる。
相手は自衛隊。
ヴァイスハイト帝国ではない。
最近はヴァイスハイト帝国ではなく、自衛隊ばっかと相手している気がする。
『こんな事に予算掛けるから核使うハメになるんだよ!!』
俺は愚痴りながらアインブラッド・レイブンのビーム兵器で対応する。
パワーローダーは12・7mm弾――乱射すれば住宅を弾丸で伐採できるぐらいの破壊力を持つ弾の直撃に耐えられる。
アインブラッドタイプになるとどう言う装甲素材を使っているのかビーム兵器の直撃にも耐えられる装甲素材を使っている。
敵にアインブラッドタイプがいないのを見る限り、ご丁寧にプレラーティ博士が作り方から装甲素材のデータまで抹消したと見て考えていいだろう。
敵は零戦二型やら富嶽を中心にした機甲部隊。
こっちはたったの4人。
和泉さんと牛島さんが二人で指揮車両や物資を防衛している。
特に指揮車両は此方の戦力の要だ。
通信から敵の位置の把握まで――人体に例えると目と耳と口、脳の役割を果たしてくれる重要な存在だ。
敵も最重要目標として狙ってくる。
俺は装甲車の砲塔部分に降り立ち、両腰のサーベルで砲身を斬り落としていて破壊していく。
『そこっ!!』
死角から来た零戦二型をサーベルで真横に両断して急いで離れた。
遅れて装甲車を巻き込み派手に爆発する。核融合炉に誘爆したのだろう。
アインブラッド・レイブンは刀身にエネルギーを発生させて切断力を増すタイプだ。
戦車の装甲だろうとパワーローダーの装甲だろうと切り裂ける。
『敵、第三波!!』
『今回に限ってしつこいな――』
オペレーターからの増援の知らせを聞いてそう毒付く。
手毬も『まさかあいつ私達を売った?』とか言っていた。
『ともかく逃げるにしても待つにしても戦うしかない!』
と、議論を切り上げた。
戦闘中に議論などしている暇があったら一体でも多く倒した方がいいからだ。
それにしても自衛隊の連中はしつこい。
味方にすると頼りにないのに敵に回すとこんなに厄介だとは思わなかった。
『巨大な熱源が接近!? 陸上戦艦サイズ――だけどこの速度は!? それと猛スピードで接近する機影が一機――パワーローダーサイズ』
『なんだ!?』
オペレーターから報告が来る。
同時に次々と巨大なビームで敵部隊が焼き払われた。
『久しぶりです』
『タツヤか!?』
相川 タツヤ。
自分の部隊の一人だ。
『空中戦艦レギンレイヴが来ます。皆さんはそこに乗り込んでください』
『空中戦艦!?』
その単語に驚きつつもどんどんと此方に迫る大きな艦影にド肝を抜かれた。
緑色の巨大な戦闘機のような外観とでも言えばいいのか。
まるでロボットの物に出て来る空中戦艦だ。
それが近付く敵の群れに砲撃をかましながら突っ込んでくる。
更に未確認のパワーローダー。
戦闘力から察するに自分達と同じくアインブラッドタイプだろうが次々と敵を蹴散らしていく。
ネイキッドタイプ(メカ娘タイプ)なども混じっている。
敵が壊滅するのもそんなに時間はかからなかった。
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