神のまにまに

第36話 異世界もののシスターってナイスバディの金髪美女多くない?







 拝啓。前世の両親へ。日本人は宗教をあまり信じない国として有名ですね。昔、気になって理由を考えたのですが、宗教を心の拠り所にしてないからだと思います。理由としては、別に信仰なんかなくても生きていけると思ってる人が多いと思ったからです。しかし、新年のお参りはしっかり行く人が多いです。つまり日本人の殆どは都合の良い時だけ宗教や神様を利用していると思われます。

 神様から見て日本人はどう思うんでしょうかね。





              敬具

              フルール・ヤマト・ジャポニカ









 「マルトレーゼ教の聖堂に行きましょう!!」


 大和披露会の次の日の朝、突然カーミンが提案してきた。こいつ頭のネジぶっ飛んでんじゃねーの?


 「なにヴァカな事言ってんだテメーは。一人で行ってな。」


 「最近思ったんですよ、

この屋敷には信仰心が足りてないんじゃないか?

マルトレーゼ様がご不満に思われるでしょう。

だから、聖堂に行きましょう。

これぞ完璧な三段論法でしょう。」


 『『自分で言いやがったよ(言っちゃったよ)この人』』


 ん?今誰かと考えが同じだったような?まあ、いっか


 「普通に三段論法として破綻してますよカーミン。まあ私は良いですよ。フルールもそれでいい?」


 なん…だと…お嬢、嘘だと言ってくれ。誰がこんなクソめgゲフンゲフン、あーめんどくせぇ。


 「分かりましたよ。ついて行けばいいんでしょ、ついて行けば。ったく、子守も大変だなぁ」


 「聞き捨てなりませんね!フルール!私のどこが子供だと言うのですか!?三段論法で説明してください。」


 「カーミン、さてはお前、三段論法ブームだな。まあいいでしょう。

子供は背が低く、我儘である。

カーミンは背が低く、我儘である。

よってカーミンは子供である。

これでいいよね?」


 「私が納得できないからやり直し!」


 「理不尽すぎでしょそれ。」


 ガブリエル邸の朝は今日も元気です。










 屋敷から歩いて徒歩5分。マルトレーゼ教の聖堂にやってきた。見た目は…聖ペテロ聖パウロ大聖堂みたい。

 海外旅行は行った事ないけど、その写真だけ見たら満足しちゃうタイプだったから、無駄にこう言うの覚えちゃうのよね。


 「さあ、着きましたよ!ここが国内で1番の大きさを誇るマルトレーゼ教の聖マルトレーゼ聖堂です!」


 「あー無駄にでかいとしか言えないですね。なんでクソめがgゲフンゲフンなんかを宗教にしてるんですかね。」


 「そんな事言わない方がいいよフルール。ここ完全アウェーだから。信者しかいないとこで喧嘩売らない方がいいよ」

 

 「ほら、二人とも早く行きますよ。」


 「はぁ、仕方ありませんね。中に入ればいいんですよね。」


 クソデカ溜め息吐くほど、気乗りがしない。何が悲しくてこんなとこ入らなきゃいけんのだ。


 

 中はThe聖堂って感じ。古臭い建物の中に算数の問題でよく出てくるような長椅子、マルトレーゼ様(笑)を模した像と綺麗なステンドグラスのマルトレーゼ様(笑)が描かれていた。

 しかも笑えるのが、思わず二度見する程のボンキュボンのマルトレーゼ様(笑)だ。はっきり言って全く、これっぽっちも似ていない。童顔もキリッとした顔立ちになってるし、背なんて140ぐらいしかないのに175ぐらいの背に修正されてる。実物と合っているのは、髪と目の色だけと言うなんとも面白い状態だ。


 「Who is that? I don’t know the person like her (訳 誰だよこいつwこの女みたいな人見た事ないんですけどw)


 「目ん玉付いてんのかコノヤロー。どう見ても偉大なるマルトレーゼ様でしょう!?さては貴様異端者だな!?」


 なんかカーミン荒れてね?そんなに事実を突きつけられるの嫌なのか…大丈夫だ、現実と理想はいつも乖離してる物だ。


 すると、奥からシスターの格好をした女性が出てきた。こっちはまさしくボンキュボンな金髪シスターだ。

 どうでもいいけど、創作物のシスターは金髪ボンキュボンって相場は決まってますけど何故でしょうか?あと、頭おかしいのが多い。


 「あらあら?どうもこんにちは。今日はどの様な御用で?入信ですか?それとも入信ですか?もしくは入信ですか?入信に違いないですね!3名新たらしく入信するそうでーす!」


 ん?何言ってんだこいつ。いきなり話しかけてきて入信させる気しかないじゃん。それと香ばしい程のヤベー匂いしかしない。


 「え?誰が入信するんですか?こんなクソ宗教に。私はクソ女神は信じますけど、別に信仰するつもりなんて更々ありませんよ。」


 まあ、横にクソ女神がいるんでね。


 「貴女分かってませんね!!神様とは私たちの生活を豊かにしてくれる存在です!!祈れば祈る程の豊かになるんです!!そこで祈らないバカは居るだろうか?いいえ、居ないだろう!!信じれば救われる!!まさか、入信するの日和ってる奴いる?いねぇーよな!!」


 はぁ、だから宗教家は嫌いなんだよ。ちょっと…いや、かなり盲目的で、人の話を聞かない。

 おーいクソ女神、お前の信者、頭キマってんぞ。


 「信じても救われなかったから、こんなになってるんですけどね。あと何なんです?このマルトレーゼ様とかけ離れた像は、最早原型留めてませんけどね。本当はもっと、ちんちくりんでひんぬーで童顔なんですけどね。」



 「貴女…マルトレーゼ様の事…バカにしましたよね…バカにしましたね!!貴女は異端者です!忌むべき魔女です!魔女は火炙りの刑に処すのがマルトレーゼ教の、いや、マルトレーゼ様の意向です!!さあ、祈り、懺悔しなさい!さすれば、マルトレーゼ様もお慈悲をお与えになるでしょう!!」


 「はぁ、お嬢。マルトレーゼ教ってこんなに頭のネジぶっ飛んでる奴しか居ないの?即邪教に認定されそうな程のヤベー感じがするんですけど…」

 

 シスターは完全に目がキマってる状態で超!エキサイティング!してるし…なんでこうもトラブルが全速力で向かって来るんですかねぇ。


 「んー、正直ここだけかもね。うちの領内では至って普通の宗教だし…それともこの人だけちょっと…いえ、かなり信仰に厚い人なんじゃないの?」


 「信仰に厚いでは済まされないレベルですよ。そこでちょっと引いてるカーミンさん、何か一言有ればどうぞ」


 「…おかしい、うちの子がこんなにキマってるなんて…これは何かの間違いです!」


 所がどっこい、これが現実なんですわ。まあ、女神がクソな時点で、信者もさっs……なんか凄い形相をした、肝っ玉お母さんみたいなシスターがこっち来てるんだけど…ああ、これ、おかしいのこのイカれシスターだけだったか。南無。

 

 「こんの大馬鹿者が!!」


 わー、頭殴って流星が見えるなんてついてるなぁ(脳死)と言うか大丈夫?頭蓋骨陥没してそうな音したけど…


 「いったぁーい!!何するんですか!?カルーラ司祭!!危うく私の完成されしプゥァーフェクトゥな頭脳がダメになるとこでしたよ!!」


 「あんたまた礼拝に来た人に迷惑をかけて!そんなに異端者狩りがやりたいなら、自分が異端者になりなさい!私が火炙りにしてやるから!すみません、うちのバカがご迷惑をおかけして」


 「いえいえ、まだ被害が出てないので問題ないですよ。やっぱり、この人がおかしいだけだったんですね。危うくマルトレーゼ教全員が頭のネジぶっ飛んでるんじゃないか、と思うとこでしたよ。」


 「すみません。本当にすみません。イカれてるのはこのバカだけなので」


 あー、なんだろう。この人凄い苦労性な気がする。厄介な種が寄って来るタイプの。


 「お互い苦労しますね。」


 おい、お嬢、私の方をガン見して言うのやめて下さい。飛んだ風評被害です。


 「失敬ですね。私のどこがお嬢に迷惑をかけていると言うのですか。全く、風評被害もいいとこですよ。」


 「あらあら、反省してないようですね…シアンの小屋にぶち込みますよ。」


 待って、目のハイライト消えてるって。私…そんなにやらかしてた?


 「まあ、何はともあれ自己紹介をしましょう。私はジャポニカ帝国第一皇女、フルール・ヤマト・ジャポニカです。こっちが私の支えているブラン=ガブリエル伯爵令嬢です。そしてこの幼女は同僚のカーミンです。以後よろしくお願いします」


 「はい、私はカルーラ・カフケン司祭です。こっちは、マルトレーゼ教筆頭トラブルメーカーのミューイ・デミグラスです。今後ともご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いします。」


 「ちょっと、なんですかカルーラ司祭。私がトラブルメーカーだなんて、全く風評被害もいいとこですよ。」


 あれれ〜、もしかして私、こいつと同レベル〜?ヤベェって、まじヤベェって


 「今日は礼拝に来たんですけど。案内お願いできますか?」


 「はい、分かりました。ではこちらに」


 はぁ、やっと、礼拝に行けるよ。全く、流石にもうこんなトラブルなんて怒るはずないから、気楽に行けますわ。

 

 「カルーラ司祭ちょっとよろしいですか?」


 遠くから何やら偉そうな人がやって来た。服のグレードが高く見えるからカルーラ司祭の上司かな?それと、事件のかほりがするぞ。


 「ええ、大丈夫ですけど、何かありました?」


 「実はさっきマルトレーゼ様からのお告げがあって…『聖剣を持つ者を遣わせた、その人物をどう扱うかは汝ら次第だと』だそうです」



 カーミン、何やっとるんですかぁ〜〜



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