第21話 レアアイテムと体内の魔素
「皆さんこんにちは〜今は、ダンジョンの安全地帯にいます。今日はここで、前回の宝箱やドロップ品などの確認を行ったいくつもりです! 短い配信になると思いますが、よろしくお願いします!」
昨日は配信が終わってすぐ、安全地帯に来て泥のように眠った記憶がある。なので、ドロップ品の確認もまだなのだ。昨日の配信で、みんなと一緒に確認すると言ってしまったこともあるしな。
「まずは、クラーケンの死体ですね!かなり大きいですが、一体売ったらいくらになるのでしょうか。」
まずは、視聴者にもよく見えるようにクラーケンの死体を取り出す。昨日の配信を見ていない人にも、こんなでかいのを倒したのか! すげえ! と思わせるためだ。
『んー80万コインくらい?』
『いや、100万はいくだろ』
『それにしてもでけえな』
『頭部ないの草。昨日見逃したんだが、いったいどんな倒し方したらこんなになるんだ……?』
『うわ、昨日のあれ見逃すとかもったいな』
『それな。あれは激アツかっこ良すぎた』
コメントを読んでいくと、100万コインはいくだろうと言っているやつもいる。たしかに、前回のゴブリンキングの死体と剣は、合計で110万程にはなった。
さらに上の階層のボスだし、死体だけでも同じくらいの売値はつくのかな?しかし、今回のは頭部がないからなぁ。
それでもかなりの金額にはなることは確定してるので、この場でオークションに出品し、次。
「次は、宝箱を開封していきます!」
『宝箱(B級)を開封しますか? はい/いいえ』
宝箱の等級は前回と同じB級のようだ。今回も良いアイテムが出ることが期待できそうだ。はい。と念じ、宝箱を開封した。
【覚醒剤(B)】
・スキルを持った生物に限り使用できる。
・使用すると、30分の間スキルのランク制限が解除される。(1ランク)
また薬のようなアイテムが出てきた。魔界のアイテムらしい名前で、まるでアブナイ薬のような名前だ。
しかし、これはすごいな。絶対にレアアイテムだ。今俺は名声値Cランクだから、30分間Bランクの魔物に変化できるようになるのか。
これは強力な切り札になるな。今回のように、少し戦闘に手こずったときにも使えるし、売ってもかなりの値段がつくだろう。
「覚醒剤、というアイテムが出てきました! 僕はかなり優秀なアイテムだと思いましたが、皆さん的にはどう思いますか?コメントください!」
『え』
『え』
『え』
『えぐう』
『クソびびった』
『覚醒剤って……あの覚醒剤だよな?』
『Bランク覚醒剤だからまだしも、A.Sランクならやばかったな。』
『それ、普通に命の危険があった』
『マジで良いアイテム!引き強すぎ!』
『売ってください。500万で買います』
『500は詐欺で草。騙されんなよ、相場800〜1000万は行くからな。これ。』
「え……?」
『困惑してて草』
『たまに思うが、強いくせに結構世間知らずよな』
『強いせいで忘れそうになるが、やっぱまだまだ駆け出しなんだな。』
『俺たちが守るぜ』
え……これ、最低800万もするのか!?何だか、人間界と物の価値が違いすぎる。同じBランクでも強さが全然違うように、出てくるアイテムの凄さもここまで違うのか。
コメントを見る限り、AランクやSランクの覚醒剤というものも存在するようだ。気になったので、ショップで確認してみようと思う。
【覚醒剤(A)】
・スキルを持った生物に限り使用できる。
・使用すると、24時間の間スキルのランク制限が解除される。(2ランク)
・『?』
☆出品者名:高級アイテム取引専門垢
○在庫10個
(手に入り次第再入荷あり)
○価格5000万コイン
○配送までに時間がかかる場合がございます
【覚醒剤(S)】
・スキルを持った生物に限り使用できる。
・使用すると、72時間の間スキルのランク制限が解除される。(3ランク)
・『?』
☆出品者名:高級アイテム取引専門垢
○在庫2個
(手に入り次第再入荷あり)
○価格1億5000万コイン
○配送までに時間がかかる場合がございます
これは……恐ろしいほどの金額だが、それに見合った効果だと思えるほどとてつもないアイテムだ。いつか手に入れてみたい物だな。
霞んで見えるが、今手元にあるB級ですらとても強いアイテムだ。仲間もいない現状、護身のために一応売らずに持っておくか。
『ビーッ!ビーッ!警告!体内の魔素蓄積率が80%を超えました。直ちにダンジョンから脱出してください。』
突如警戒音が頭の中に鳴り響いたと思うと、システムより、ダンジョンから脱出するように警告された。
ダンジョンに長時間留まり続けると、ダンジョンの空気中に含まれる魔素が体内に蓄積していくことは知識として知っていた。しかし、それは数ヶ月単位でダンジョンに潜った時の話だったはずだ。
B級のダンジョンだと考慮したとしても、流石に速すぎやしないか。もしや、魔界はダンジョンの空気中にある魔素の濃度が高いのか?それなら、魔物がこれだけ強いことも辻褄が合う。
ちなみに、魔素の蓄積率が100パーセントになると、身体機能が低下し、一時的にスキルも封印され、ダンジョンアレルギーになる可能性がある。
そして、最悪の場合魔物化してしまうという恐ろしい症状が待ち受けているんだ。
くそっ。まだ1週間程度だぞ?油断していたな。仕方がないから、転移システムを使って一度脱出しよう。
すでに配信は切った。レアアイテムを手に入れ、喜びに塗れていた先ほどとは一転して重くなった腰を上げ、転移ポータルを目指した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます