【横断歩道】

誰もいない横断歩道


信号は赤を示す


立ち止まる自分にほくそ笑む


誰が見ているというのか


神様が見ているとでもいうのか


ひとりふたりとランニング者が誰もいない赤信号を渡る


ひとり残され再びほくそ笑む


誰が決めたか知らぬルールに従う自分


目の前にひとりの異性


鏡のなかの自分のように立ち止まるその人


時が止まりこの広い世界がふたりだけの空間となる


おたがいの瞳は重なり合うことはないが穏やかで愛おしい時間


信号が青となり時が動きだして日常へと舞い戻る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る