第3話 「不思議な出会い」
空気が元に戻った。
そう感じた瞬間にすぐここから逃げなければと思い走り出そうと一歩踏み出す。
今の出来事の中で全てを聞いたようなものだ、口封じされるのは目に見えてる。
きっとアイツらはまだ唖然としているに違いない。
…そう思い込んだのがいけなかった。
「待ちなよ」
ガシッと腕を掴まれた。
「俺らに聞こえたし、あなたの前にも現れた。このまま帰れるなんて思ってないですよね?」
『逃げないわけないだろっ!』
「っっ!!」
もちろん当たるなんて思ってない。
距離さえ取れればそれでいい。
ホッとしたのも束の間、一瞬何かが動いたような気配を感じた次の瞬間、
『い゛っっ……!!?』
右腕に激痛を感じたと同時に大量の血が地面に流れ落ちた。
チラリと目を向ければ服ごとザックリ二の腕部分が切り裂かれてる。
「一般人なんだからさ、俺らに太刀打ちできるはずないじゃん」
「分かったなら大人しくしてください」
どうやらこの2人は異能者らしいが、それよりも…
……「一般人」ねぇ
ちょーっとさ、頭に来るよねぇ。
『あんたらの言う通りにしてやる理由は一つもないわ』
「逃げれないのに?」
腕の怪我なんぞこの際どうでもいい。
甘く見たことを後悔させてやる。
『その余裕がいつまで続くか見ものだね。
案内よろしく』
[任せて]
一方的に話を終わらせると一気に走り出す。
もちろん後ろの2人もダッシュで追いかけてくるので気は抜けない。
◇
[そこの角曲がって]
[曲がってすぐに人がいるからね]
指示された通りに曲がってすぐ人を避ける。
少しして後ろから悲鳴と何やら声が聞こえたので、奴らはぶつかったのだろう。
走ってるうちに距離が開くだろうと思っていたけど、意外に広がらない。
走りながらタオルで右腕の傷を
[あっちも早いね〜]
感心してる場合ではないんだが…
チラッと後ろを向けば追ってきているのは翔太とかいうやつのみ。
『1人へばった?』
[分かれたみたい]
[挟み撃ち]
確か、もう少し先にはY字の通路があったはず…
きっとそこから出てこっちに来る
走るスピードをさらに上げて全力で前へ進む。
視界の先に例の道が見え、まだもう1人とは
『わっ!』
「くそっ…」
ちょうど左の道からもう1人が走ってきた。
冷や汗が背中を伝う。
[まだ真っ直ぐ走って]
声に従いながら走っていると、少し2人との距離が開いてきた。
しかし、それと同時に少しずつ歪んでくる視界に焦りを覚える。
「その階段を降りて]
この下には神社があるけど、隠れるには不向きな場所。
不思議に思うも迷ってる暇はない。
もつれる足を必死に動かし階段をなんとか降りきったその時、
「えっ…?」
運が悪いことに人に会った。
突然目の前に出てきたので思わず止まってしまったのがいけなかったのだろう。
限界を迎えていた足はヘタリと崩れる。
一度倒れてしまうと一気に疲労が襲ってきて自力では立てなくなってしまった。
『ハアッ…ハァッ…』
こんな場所でへばってる場合じゃないのに…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます