かみさまのカケラ
風音しの
Prolog
私は医者でも医療従事者でもなく研究者でもない。
多少介護の仕事をかじったことがある程度で、それも高校時代は赤点常習犯の人間だ。頭が弱い人間に分類されるだろう。医学に関する事は多く語ることなど出来やしないし、医者じゃないからこうするべきだと説教することも出来ない。
これから『私と祖母に関する事』を書き記していきたいと思う。
何の変哲もない、そこら辺にあるような、一般的な家庭の祖母と孫の話だ。興味が沸くかどうかと問われれば、大抵の人は興味を失うだろう。それはそれで結構。好みは多種多様。私がとやかく言える立場なわけではない。私は人を救う事も出来ない、ただの女なのだから。
それに大抵の方なら、ここで結末を想像できるかもしれない。
だけれど、私はこうして筆を執っている。元気なころの祖母から、描写をするほどに。理由は簡単だ。私は、未だに祖母に未練を残して生きてしまっている。ふとした時に祖母の姿を探すし、食卓に祖母のご飯が無いと偶に違和感があるし、祖母の笑顔が恋しくなってしまう日々が、ずっと続いてしまっていた。
もし、私の思い出話に付き合ってくれる優しい方が居るのだとすれば、私はたいそう感謝するし、嬉しくて泣きながら頭も下げるだろう。
これは、私が祖母という神様に生きるのを許された話だ。
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