商品No.14 おひとり様テント

「皆様こんにちは!異世界ショッピングの時間です!MCはお馴染み、伊達昌高が勤めさせていただきます」

「アシスタントの米沢 愛です。よろしくお願いします」



「さて、今回の商品を紹介いたしましょう。異世界転生された皆さん。とくに自然豊かな世界に転生された皆さま。プライバシー。守られていますか?ダンジョン攻略や遠征による野営。現地で仲間と出会えたのは良いものの、一人の時間がなく、休むに休めず、翌日全力を出して戦えないこと、ありますよね?」

「何気に困るのがトイレですよね。特に女性は…仲間から離れた場所でするにしたって、音が出てしまったり、ラッキースケベをもくろむ人とかもいますからね」

「そこで今回ご紹介したのがこちら!おひとり様テントです!」

「普通のテントよりはコンパクトですが、三角ではなく筒状の作りなんですね。コンパクトと言いましたが、大柄の男性でも悠々入れそうですね」

「良い所に気が付きましたね米沢さん。こちらのテント、プライバシーを守ることに特化したテントなんですよ。それでは米沢さん。タイマーをお渡ししますので、テントに入って、1分したら出てきてください」

「はい、それでは失礼します」

「米沢さんがテントに入っている間にご説明します。このテント何がすごいかというと、防音機能と撥水を兼ね備えた素材で作られているんです。ですからこちらの声が聞こえないのはもちろん、テントの中から音も漏れないんです。テントの中に簡易トイレを置けば、もう野営でのトイレは恥ずかしくありません!もちろん!トイレとして以外にも、撥水機能も含まれておりますので、この中でシャワーを浴びることも可能です。テントの底はマジックテープで止まっているだけなので、底を外していただければ水を流すことも可能です」

「一分経ちました」

「お帰りなさい米沢さん。僕、このテントの前でずっと商品の説明をしていましたが、聞こえましたか?」

「いいえ全く、中はとても静かで、わずかに光がテントの中に入ってきて、とても居心地が良かったです」

「そうでしょう!米沢さんが持っているタイマーの音、それも米沢さんが出てくるまで全く聞こえませんでした!」

「すごいですね!外だけじゃなくて、家の中で一人になりたい時にも使えそうです!」

「米沢さん、この商品、もっとすごい所があるんですよ!」

「なんですか?」

「テントを横に倒しますね。では米沢さん。僕は天井側を持つんで、米沢さんは反対側の底を持ってください」

「こうですか?」

「そう、そして僕と一緒に、持った部分を右に回してください」

「右に…あ!アッと言う間に小さくたためちゃいました!」

「そうなんです!今日は二人でやりましたが、一人でも簡単に設営出来て、片付けまで出来ちゃうんですよ!」

「これは持ち運びにも便利ですね!」

「もちろん!異世界特有の毒熱耐性は言わずもがな!氷にも耐性があります!さらにさらに!剣や銃を通しにくい素材を使用しております!テントを横に倒せば、例え敵地であろうと休息を取ることが可能なんです!」

「敵のフィールドになると、どこから攻撃が飛んでくるかわかりませんし、毒まみれの洞窟や氷洞等、いるだけで体力を削られるフィールドでも仮眠を取れるのは、とてもありがたいですね」

「すごいでしょう?お値段、気になりますよね?おひとり様テント。これだけ高機能でお値段なんと!9980円でございます!」

「え!これだけ高機能なのにたったの9980円ですか!?」

「さらに!今回!今回のみ!2つ同時購入の場合のみ!15800円でご購入いただけます!」

「2つ買って15800円!自分だけではなく、ヒロインのプライバシーも守れるとなると、ポイントがとてもあがりますよね!」

「そうでしょう?いくつあっても損はない!おひとり様テント!ぜひぜひお買い求めください!」









 お申し込みは0210-4110-71、良い転生まで!


 あなたの異世界転生を応援いたします。『異世界ショッピング』



*この話に出てくる販売機関、商品、電話番号は、架空のものです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る