いつものお店にて

いつものお店のいつものカウンター

一番奥の少し低い椅子の中に

うずくまるように小さな私

何か頂戴

ため息をひとつつくと幸せがひとつ逃げていくなんて、

また同じひとりごと

カウンターの向こうに並ぶボトルとグラス

なぜなの、滲んで見えないよ

シェーカーの流れるような音が

私の周りを回り

私を包み

そして静かに去っていった

カウンターが寂しげな音をたて

滑り込んできたカクテル・グラス

マンハッタンです

微かな光を身にまとった透き通る赤と

底に沈んださくらんぼ

切ない恋心でしたっけ

ご存知でしたか

私の心ははそんなに綺麗かな

静かな笑みと小さなうなずき

マスターはいつも優しいんだよね

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