降車ボタン

バスの中に散りばめられた降車ボタン

誰かの指先で目覚める昼間の夜景

規則的な乱雑さで並ぶ同じ顔同じ表情同じ声

一斉に同じことばかり言っている

そう聞こえる

そう見える

本当は全部違うんだよ

生まれたときは同じでも

居場所や出会い触れる人はみんな違う

擦れて汚れて傷ついて

毎日少しずつ変わっていって

本当はみんな違う顔

同じようでも違う顔

ボタンそれぞれに個性があるけど

みんなにとっては全部ボタン

全部同じ降車ボタン

私もあの子も違うのに

私の意見は女性の意見

あの子の意見も女性の意見

私の好みは女性の好み

あの子の好みも女性の好み

私は顔の無い「女」にされる

抗うことに疲れた私は顔の無い「女」になる


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