第30話 『ハーレム』要素は好きですか? 無理ですか?

『ハーレム』要素は好きですか? 無理ですか?


私は国王が複数の妻を持つ形や、戦国時代の武将が正室と側室を持つ小説は面白いし『出産の際の女性の死亡リスクを減らす』『婚姻を結ぶことによって、家同士、国同士の絆を強化する』『優秀な子孫を残す』という『恋愛感情以外の』要因でハーレムを構成、継続していくのであれば納得できます。


でも『男主人公が好き』という恋愛感情だけで、別れても『心が傷つく』『とても寂しい』以外のリスクが無い状態のハーレムは、基本的に無理です。


私は最近『異世界村長』という面白い男主人公の異世界転移(集団転移)作品を最終更新分まで読んだんですけど(★3文章レビューをしているので、気になった方はぜひご一読ください)その作家様が『ハーレムだけど自分(男主人公)がじゃない』と書いていらして、私は「面白そう!!」だと思いました。そして『異世界村長』を読んでみたら面白かったです。


以下、『異世界村長』のネタバレを含みます。

男主人公でない男性キャラのハーレムの構成と瓦解の話で『異世界村長』は連載中の作品なので、致命的なネタバレではないと思うのですが、小説のネタバレが気になる方は、お手数ですが閲覧をお控えください。


その男性キャラの年齢は10代後半で、ハーレムの構成要員は20代の女性が一人、残りは10代後半という構成です。(構成でした)

最初は全員がその男性キャラの『ハーレムの構成要員』と読者に誤認させるような表記をしていたと思うのですが、実は20代の女性だけは男性キャラと恋愛関係に無く、男主人公と出会うことで『男主人公の村(ハーレムではない。本当に村です)に入れて欲しい』と言って、男性キャラのハーレムから抜けるのです。


私、すごく面白いと思って!!

『恋愛感情だけに頼っている』ハーレムって、本来ものすごく脆弱なものだと思うのです。

普通は『自分が想うだけ、相手にも想ってほしい』と考えるはずなんですよ。

それは『同じだけ、時間と労力、感情を使ってほしい』ということだと私は理解しています。

恋愛関係ではなく、知人・友人関係でも、相手から何の感情も返ってこないと嫌になって関係が疎遠になったり終わったりすると思います。


女性読者様から支持されている小説は、基本的に『一人の女性(女主人公)を誠実に愛する男性キャラと結ばれる』ことがハッピーエンドであり、ゴールなので『複数の異性/同性との恋愛関係がずっと続き、人数が増えていく』という『ハーレム』に対する忌避の感情には男女差があるのかもしれません。


『異世界村長』の男性キャラのハーレムは、とある理由により瓦解します。

瓦解します!!

でも男性キャラがひとりぼっちになることはなく、本当に彼を愛する女性がふたり残ってくれるので『ハーレム』→『少数ハーレム』に変更されて、それ以上女性キャラの人数が増えないという形に落ち着きました。


これは『男主人公以外の男性キャラがハーレム』という形だからできることかなあと思いながら、私は読みました。『異世界村長』面白いです!

『異世界村長』には『異世界転移で俺ツエー、金も権力も女も思いのまま!!』という男性キャラもいるので、彼がうまくハーレムを継続できるのか、すべてを失って破滅するのかも楽しみにしています。


私は恋愛感情のみでつながる『ハーレム』は、ハーレムの構成要員の女性の人数が増えれば増えるほど『男主人公から時間を割いてもらえず相手にされない』女性キャラが出てきてしまうので、人間関係の維持がめちゃくちゃ大変だと思うのです。

男主人公から見向きもされなくなったヒロインがハーレムから抜けていくのは自然ですよね。


たまに、ハーレム要員の女性キャラ同士で『話し合い』を行い『女性キャラ同士の序列』を決めるストーリー展開も読んだことがあるのですが、自分ひとりを選んでもらえない時点で恋愛の勝負としては『負け』なので『自分が男主人公の一番の妻!!』ということを強く主張して威張っているヒロインを見ると『可哀想だなあ』と思いながら、私は静かに小説を読むのをやめます……。


男主人公がヒロイン複数から恋愛相手を選びきれず、最終的には一人のヒロインを選んだり、ヒロインごとに分岐を作ってそれぞれのハッピーエンドを描くのは理解できます。

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