第4の殺人
「大丈夫ですか。清野さん。」
ハッとして声の方を見ると見張り役の飯田さんが心配そうにこっちを見ていた。
「すみません。少し変な夢を見まして。」
「こんな状況なら無理もないですよね。」
ここにいる全員が死への恐怖に怯えていた。この中にいる正体不明の連続殺人犯を除いて。
今は再度チームに分かれて行動している。
飯田さんと私清野、管理人と橘のグループと、赤城くんと佐藤、風間と東條のグループに分かれていた。
全員で同じ場所で休むと言う話が出ていたのだが、ちゃんとベッドで休むなら個室に戻るしかない。8人で入るには流石に多すぎるのだ。
夜に休憩したとは言え、交代制で休んだため睡眠時間は全員3時間もない。眠気を訴えるメンバーは多数いた。
ただ今17時。意外にもまだ最初の事件発覚から24時間は経っていない。
解散後、夕食に向けて、19時再集合ということになっていた。助けが来る様子もまだない。しかし同時に、侵入者やテロリストも新たな動きは見せていなかった。
「やっぱり元気なさそうですね。清野さん。」
今は私は休む番だった。17時から休んでいたが、どうも気分が落ち着かない。
飯田の隣では見張り番にも関わらず橘が寝てしまっている。今日になって橘は思いがけずよく頭を働かせていた。
その代償で疲れてしまったのだろうか。
代わりに私は眠れそうにない。
「清野さん、さすがにずっとあまり休んでいなくて疲れているでしょう。休まないと。私のことは信頼できないかもしれませんが、本当に休まないと。必ずみなさんの命は私が守ります。」
飯田のことは別に疑ってはいない。
私は礼を言って眠れるよう努めた。
どれくらい時間が経っただろうか。
飯田の声で再び目覚める。
「みなさん起きてください。もうそろそろ19時になります。」
その声で再び私は目を覚ました。
起きるとちょうど橘と國谷も目を覚ましたところみたいだ。
「みなさんお気づきですかね。意識がはっきりしてきたら、全員で食堂に向かいましょう。」
私を含め全員が眠かったが、数分で少し目覚めてきて、全員で食堂へと向かった。
食堂に着いた頃にはちょうど20時になっていた。
…しかし、もう一つの班が待っても誰も来ない。明らかにおかしい。私たちは段々と嫌な予感がしていた。
「みなさん。これは様子を見に行くしかないですね。全員でよく警戒しながら向かいましょう。…最悪の場合も、想定しておいてください。」
飯田がそう仕切る。
まだ飯田以外のメンバーはよく目覚めていない。私もだ。
しかし、赤城くんの班が寝ていたところに行くと、そんなに最悪な状況ではなかった。部屋には鍵もかけられていなかった。全員ただ熟睡していた。疲れが溜まっていたのだろうか。
私たちは一瞬起こすべきかをためらったが、こんな状況なので、起こすことにした。
しかし、起こしてもなかなか起きない。
そんな中最初に起きたのは風間だった。
「あれ、わたし。すごい熟睡しちゃって。」
「こんな状況で無理もないでしょう。とりあえず、寝かしてはあげたいですが、安全のため、他の人たちも起こしましょう。」
もう仕切っているのは完全に飯田だ。様になっている。
その後も残りの3人を起こしていったが、どうしても起こさないメンバーが1人だけいた。
そのメンバーの首を見ると、縄のようなもので締められた跡がはっきりと残っていた。
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