脅しの内容?
「まあとは言っても何が起こったか話せることは少ない。高橋は死んだ。発見場所は男湯。湯船に浮かんでたよ。うつ伏せの状態でな。出血とかはなかったよ。」
「あの、何でこんな遅い時間に男湯で発見されたんですか。」
東條がそう尋ねる。彼は塩見が夜中に捜索に出た経緯を知らない。
探しにいくと廊下で話していた時にいたのは私と飯田、叫び声を聞きつけて駆けつけたメンバーは私と赤城くん、飯田、佐藤、風間の5人だ。
三森、橘、東條の3人は私たちが呼びに行って初めて事態を知った。
「それは夜から行方がわからなかったからだ。俺がそれに気づいたのは22時、一緒に呑もうと思って部屋に行ってドアをノックしても返事がなくてな。寝てるのかと思ってドアノブ回したら空いたんだよ。でも中を見ても誰もいなかった。荷物はあったが。その時はまだそのうち帰ってくるだろうと思って放って置いた。そのあと1人で呑んでたら寝ちまってな。起きたらたしか3時くらいだったか。トイレに行こうと思って廊下に出たら高橋の部屋のドアが開いてたんだよ。ドアも開けっ放しで寝てるのかと思って部屋に行ったらまだ高橋はいなかった。そこで流石にこの島でこの時間まで旅館に帰ってこないのはおかしいと思ってまずは管理人に頼んで旅館中を探したんだ。」
「なぜ旅館内を?この時間に外を探すのは危ないですが、それでも旅館内を探す必要ってありますか?それこそ今回は殺害されていたので見つかりましたが…。」
赤城くんが質問する。
「それは…やっぱり脅しでここに来たからだ。流石に俺だって高橋が殺されてるなんて思ってねぇよ。ただどっかで俺らを脅した相手と接触したんじゃないかとは思ったんだ。」
「その脅しってどういう内容なんですか?何をするためにこの旅館に来いと言われたんですか。」
「何も言われていない。ただ旅館に来いとだけ言われた。なぜ脅されてるかについては言えん。でも俺らはそれに従うしかないとだけは言っておく。ただそんな殺されるような内容じゃ全くねえんだよ。そこまで脅してきたやつに恨みを買う内容じゃないしな。単純に弱みを握られただけだ。だから俺は意味がわからねぇ。ただ次に殺されるのは俺だ。」
塩見は一周回って落ち着いていた。殺せるものなら殺してみろといった感じだ。
「そう言って自分も被害者って感じを出してるけどさ。まあ正直に思うから伝えるけど。あなたが犯人としては一番怪しいけどね。脅されたって言ってるけど私たちはその証拠を何も見てない。私夕方にあなたと殺された彼がロビーで言い争いしてるの見たんだけど。なんか金の問題って感じだったよね。金って随分デリケートな問題だから、それが原因で殺したんじゃないの?この島なら殺しても今みたいに警察の手がすぐには届かないからね。捕まらないようこの島に来たんでしょ。」
佐藤がそう切り込む。とにかく正直な人のようだ。
私も2人が言い争っているところは見ている。
「やっぱりな。そう言われると思ったよ。違うとしか言えない。自分の命が狙われてる今どう言われようとどうでも良い。お前もせいぜい自分の身を案じることだな。」
「じゃあどういう問題だったんですか?俺はその現場を見てないですけど。何を高橋さんと揉めてたんですか。脅されている内容にも関係があることなんですか。」
赤城くんがそう尋ねる。
「さっきその人が言った通り、ただの金のトラブルだよ。大した話じゃねぇよ。脅しにもそこまで関係はねぇよ。全くなくもないけどよ。」
「脅されてるのが本当だったとしたら、あなた達何か悪いことをしたってことよね?反社の方ですかー?」
佐藤が煽る。どうしても塩見が気に食わないらしい。
「ちげぇよ。そんなんじゃねぇ。」
「まぁ、本人話す気がないようなので、脅しに関する話はここら辺にしておきますか。他に何か今日起きたことで話せることはありますか。」
私は見かねてそう提案した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます