続く緊張感
一通り戸締り確認とカーテンを締め終えた私たちは再び食堂に集まっていた。
しかし、声を発する者は誰もいない。それどころか誰一人として物音ひとつ立てない。
そりゃそうだ。テロリストと思われる姿を見てから全員で旅館中の戸締り確認とカーテンを閉めてきたが、10人もいたので、ものの1.2分で終わった。見えていたテロリストはそろそろこの旅館に到着しているべき時間だ。
しかし、特に異変はない。それとも既にどこかから侵入されているのだろうか。
私たちはそのまま15分ほど動かなかった。
痺れを切らしたのはやはり日本庭園にいた女性だ。
「あの、あいつらどっか行ったんじゃないですか。」
「たしかに、何も行動を起こしてきませんね。一度2階の端の部屋…殺された方の部屋ですが、そこに行ってカーテンの隙間から外の様子を見てみませんか。しかし、もしかしたら侵入されている可能性もあります。全員で行動しましょう。」
また赤城くんがそう取り纏めた。
全員で警戒しながら2階の被害者の部屋まで歩いたが、特に何も異変はなかった。
部屋に着くと遺体をまだ見ていなかった数人は絶句して驚いていた。
それを横目に赤城くんはすぐ窓のところに行くと、
「では、少しだけ隙間を開けて確認してみます。」
と言った。
そのまま彼は覗くと、すぐに閉めてこちらを向いた。
「ダメです。まだ彼らはいました。先ほどとあまり変わらない位置で道を塞ぐように2人で立ってこちら側を向いています。」
「私にも見せてください。」
そういうと私は有無を言わさず確認した。
「はあ。赤城くん、あなたのおっしゃる通りですね。彼らの目的は一体何なのか。」
さすがに一度にいろんなことが起きすぎて腹立たしかった。
「私は誰の言葉も信じないわ。」
そう言うと日本庭園であった女性はかなり大きくカーテンを開けてしまった。
「ちょっと何やってるんですか。」
突然の行動に一同呆気に取られていたが、赤城くんがその後すぐにカーテンを閉めた。
しかし、おかげで全員が外のテロリストを見ることができた。
ここにいる全員が外に出れないことを察した瞬間だった。
「とりあえずですが、彼らはおそらくあそこで見張りをしているだけで、こちらを襲ってくることはないのではないでしょうか。この旅館に来る道は彼らのいるところを通るしかないですし、既に他のテロリストがこの旅館に迫ってる様子は無いと思われます。少し怖いですが、全員で座って落ち着いて話せるよう、また食堂に戻りませんか。」
赤城くんがそう提案した。
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