第6話 嘘は言っていない
◆
とりあえず目標はこの側仕えである美咲との信頼関係を構築し直すことが最優先であると考えている。
「なあ、美咲」
「何でしょうか? 祐也様」
「マックって好きか?」
「? は、はい。 嫌いではないでは無いですけれども……」
「そ、そうか。 それは良かった」
「は、はい」
か、会話が続かないっ。
はっきり言って何を喋って良いのか、話題がまったく持って思い浮かばない。
そもそも、なんだかんだでそこはモブとは言えエロげのキャラクター。
俺が今まで接点があったどの女性よりも頭ひとつ以上美人なのである。
今までこんな芸能人でもエース級の美人と話した事もないどころか、そもそも異性ともあまり話してこなかった人生であった。
まだ元の俺が死んだとは思いたくは無いのだが、急死してもおかしくないような生活をしていた上に、今この現状を鑑みるに、元の身体が死んで、意識体になったからこそ今があるのではと考えれば辻褄が合う、気がする。
話がそれてしまったが、早い話しが女性に対しての免疫がない上に女性の扱い方も分からない俺にとって、美咲ほどの美少女と話すのはハードルが高すぎる。
しかしながら美咲が俺の側仕えである以上、いつまでも異性の扱いが苦手なままではいけないので荒療治ではあるが自分から話しかけて治すべきだろう。
そして信頼関係を築き、最終的にこちらサイド、俺の死亡フラグ回避要因に加える事ができればとは思っている。
美咲が俺の死亡フラグ回避要因に加わってくれれば、かなり心強いので是非こちらサイドに引き込みたいところである。
もし美咲を引き込む事ができればかなり痒い所に手が届くはずだ。
あとこれ程の美人が俺の仲間だと思えば俺自身のやる気も間違いなく高まる。
「な、なぁっ」
「あ、あのっ」
「……先に言ってくれっ」
「……祐也さんからどうぞっ」
「…………」
「…………」
何この初々しい付き合いたてのカップルかのような雰囲気はっ!?
あと照れてる美咲が可愛すぎて悶えたいのだが、それは西條祐也がしていい行動ではないのでグッと堪える。
「その、あれだ。 マックでおすすめとかあるか? 食べた事が今まで無くてな」
嘘は言っていない。
もしかしたら本当に前の世界のマックとは違う箇所がある可能性だってゼロでは無いだろう。
「そ、それでしたら私はチーズバーガーがおすすめですっ!! あのチーズとバンズの絡みに、高カロリーの背徳感、そしてピクルスの酸味がまた良い味を出してまして、私は一番好きですっ!!」
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