待ち合わせは1年前のここだった
ながるさんには「待ち合わせは1年前のここだった」で始まり、「想いを伝える術はなかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば3ツイート(420字)以内でお願いします。
#shindanmaker #書き出しと終わり
https://shindanmaker.com/801664
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待ち合わせは1年前のここだった。
今では工事が続いていて、その場所までは入り込めない。搬入口から中を覗き見てみれば、作業服に交じってTシャツにジーンズの男性が立っていた。
その人がゆっくりとこちらを振り向く。目が合っただろうか。口元に笑みを浮かべて、その人は片手を上げた。
そのままこちらに歩み寄ってくる。
私は動けずにいた。
片手を心臓の前で握りこみ、もう片方の手でその手首を痛いくらいに握りしめる。ごめんなさい。どうしてか、そんな言葉が漏れた。
その人は私の目の前まで来ると、困ったように眉尻を下げ、小首を傾げて何か言う。頬を熱いものが伝った。
伸ばされた手は、いつまでも私に触れず、やがてその人は淡くなって消えていった。
寝坊して、バスが遅れて、大遅刻した私は、もう一度連絡しようとスマホを開いてニュースを知った。
犯人は少年。
軽い気持ちで作った爆弾で、跡形もなくなったその場所にこびりついた残滓に、想いを伝える術はなかった。
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