「ん?わざと当ててるんだけど?」

【ながる】

「ん?わざと当ててるんだけど?」

#この台詞から妄想するなら

https://shindanmaker.com/681121


 *・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*


 センパイは女子といえども県No.1クラス。初心者の僕の練習に付き合ってくれるだけでも凄いこと。

 しなやかな指がトスを上げて、振り被ったラケットがボールを叩く。それは一直線にやってくる。次から次へと……


「ちょ、ちょっ……と」

「はい。走るー」


 よろけた僕に容赦なくボールが当たる。


「せんぱーい」

「ん?わざと当ててるんだけど?」


 にやにやと、絶妙のコントロールで座り込んだ僕の周りにボールが落ちる。


「ほらほら、拾ってー」


 もう手元にないよとアピールする先輩は動く気配が無い。キャスター付きのカゴを引きつつボールを集めて持って行くと、先輩はうーんと腕を組んだ。


「もうちょっと体力付ける?」


 走り込みでもするのかと身構えた僕をくるりと回して、彼女は背中に飛び乗った。


「せっ……」

「はい。このまま10周~」


 天国か地獄か。黙って半分走り終えて、ちらりと彼女を振り返れば。


「ん?わざと当ててるんだけど?」


 鼻の奥から流れてきたのは、汗。赤い、汗!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る