春の別れ

(お題なし)



 繋がれることもなくなった掌が、立ち止まる僕を気にもせず遠ざかる。

 みんな舞い散る桜を見上げてるのに、君は俯いたまま一度も振り返らずに歩き続けた。

 薄紅色のベールが時折揺らめいて少し癖のある君の髪も揺らしている。あの髪に、もう指を絡めることはないのだ。

 薄紅さえ、僕の指を避けた。

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