過去

振り返ってもヒナタは追いかけてこなかった。ハルがいるから追いかけても来れないし。

かと言って、藤島くんと手を繋いで歩いているかと思えばそうではなくて、藤島くんは

一人で歩いていた。俺たちと方向は違う。

ヒナタはまだ学校にいるみたいで、

藤島くんのふてくされたような後ろ姿しか

俺の目には入らなかった。


さて。


ハルの家はもう見えるとこまで差し迫っていた。特段迷いは生じない。

ふと、いつ死ぬかわかんないんだから、

いい思いをしておきたいってそんな気持ちになってきて、

「シャワーとか浴びなくていいかも」

なんて、そんなセリフを吐く余裕まででてきたから驚きだった。

陰キャが言うセリフではないだろ、

とひとりツッコミをいれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る