俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』はレベルもスキルも成長しない外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも

第1話 成長の遅い冒険者

「はぁ……はぁ……や、やっとか。やっと倒せた」


 俺はやっとの事でモンスターを倒す。その倒したモンスターとは最弱と知られるモンスターだった。


 俺はその最弱と呼ばれるスライムを長い時間かけて、やっとの事で倒したのである。


 俺はステータス画面を開く。


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【名 前】 エルク・フリオニール


 【年 齢】 15歳


 【固有スキル】 『成長率鈍化』


 ※レベル及びスキルレベルの成長効率が鈍化する


 【レベル】 2


 【HP】    15


 【MP】     6


 【攻撃力】    2


 【防御力】    2


 【俊敏性】    2


 【魔力】     2


 【魔力防御力】  2


 【運気】     2


 【スキル】


 剣技LV2


 【装備】


 ブロードソード 攻撃力+5

 冒険者の服 防御力+5


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「はぁ…………」


 俺は深く、溜息を吐いた。


 冒険者になってから半年が経った。その半年の成果がこれだった。半年もかけてLV1がLV2になった。そして、剣技のスキルレベルがLV1からLV2になった。


 同時期になった冒険者達は既にレベルが10を超えている。それが通常の成長速度というものだろう。未だにFランクの冒険者をやっているのは俺くらいのものだった。


 俺が未だにFランクの冒険者として足踏みを食らっているのにはちゃんとした理由があった。俺がサボって怠惰な生活を送っていたというわけではない。というか、そうの方がマシだろう。努力をしてこなかった人間だったのなら、努力をするようになればその分伸びしろがある。


 努力を積み重ねてきて、それでも結果が出ていない人間には伸びしろなんてものがないのだから。


 俺の固有スキル『成長率鈍化』はレベルとスキルレベルの成長を鈍化させる。その結果、半年がかりでスライム相手に格闘を続けても、俺のレベルもスキルレベルもそれぞれ1ずつしか向上しなかったのだ。


 この日もまた、俺のレベルもスキルレベルも上がる気配がなかった。


「……帰ろうか」


 俺は冒険者ギルドに帰る事にした。足取りは重い。だが、もう夕暮れ時だ。夜になったらより凶悪なモンスターが出てくる。これ以上、クエストを継続するのは危険極まったのだ。


 ◇


「お待たせしました。こちらがスライム一匹を討伐した報奨金です」


 俺は受付嬢から報奨金を受け取る。銅貨1枚だ。辛うじて、今日の安宿の宿代くらいにはなりそうな程度の報奨金だった。


 強くならなければ高額の報奨金を貰えるようなクエストは受けられなかった。これではその日暮らしの生活を到底抜け出せそうになかった。


「はっはっは! エルク……お前まだスライム退治なんてやってるのか?」


「お、お前は……」


 俺と同時期に冒険者になった貴族の息子——ゴードン・マルチネスである。冒険者とは思えない程整った身なりをした、いかにもボンボンといった風体の嫌味な男だった。ゴードンの周りには何人かの取り巻き達がいた。彼等はパーティーを結成しているのだ。


「俺達はもうCランクの冒険者だっていうのに、お前はいつまでFランクの冒険者なんてしているつもりなんだよ?」


「可哀想な野郎だな。いつまで経っても強くなれないんだからよ。このままじゃお前、スライム退治をしているだけで一生が終わっちまうぜ」


 取り巻きも俺を嘲ってくる。


「仕方ねぇな……お前がどうしてもって頭を下げて泣いて頼み込んでくるなら、俺達のパーティーに入れてやらなくもないぜ?」


「ただし、荷物持ち(ポーター)とてだけどよ!」


「「「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」」」


 冒険者ギルドに哄笑が響く。


「くっ!」


 俺にだってプライドがあった。そんな誘いに耳を傾ける気にもなれない。


「どこ行くんだよ? お前みたいなのを冒険者をパーティーに入れてやる奴なんて、他にどこにもいないんだぞ。こんな旨い話を棒に振るつもりか?」


 ゴードンは煽ってくる。


 俺は言葉を返さず、冒険者ギルドを後にした。やり場のない憤りを抱え、俺は今日もまた安宿に泊まりに行ったのだ。


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あとがき


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