第74話 選択クラス①
169階層のエリアボス、ミスリルタートル。
私達聖なる剣の、今日の獲物だ。
正直、一度は勝っている相手だし、あれから私達のレベルは大幅に上がっている。
負ける要素所か、初戦では切り札だった
私達が今日ここへやって来たのは、再スタート――は、ちょっと大げさかな?
まあ初討伐がベーガスの連中のPKのせいでケチが付いてしまったって事で、討伐自体をやり直そうって事になってやって来ている。
心機一転ってやつね。
それとこれが終わったら、179階層と189階層のエリアボスも順次討伐していく予定だ。
171階層以降はユーリ達に丸投げ状態だったから、ちゃんと自分達の実力で挑戦したかった。
だから、彼が出かけている1週間の間に挑戦する事にしたの。
まあ、思いっきりレベル上げして貰っておいてって気もしなくはないけどね。
「さて、じゃあいくわよ!」
姉が号令と同時に駆けた。
その横にはパラポネさんが並ぶ。
「ヴゥゥゥゥゥ」
此方に気付いたミスリルタートルが、唸り声と共に起き上る。
そして目の前まで迫った姉に向かって頭突きをかます。
「ふん!ホーリーバッシュ!」
姉はそれを受け止めきり、更にノックバックの有るバッシュ系のスキルでミスリルタートルをはじき返した。
以前より遥かに安定した受けだ。
レベル200は伊達ではない。
姉のアイリンがレベル200で選んだサブサブクラスは、
一定範囲の味方の受けるダメージを一時的に半減させる強力なスキルと、範囲内のメンバーのHPを50%回復させる優秀な回復スキルを持つクラスよ。
両方ともクールタイムが長いから連発は効かないけど、どちらも上手く使えば、パーティーの危機を一気に覆すレベルの効果があるわね。
レベルアップ時のステータス補正は、HPが40、MP筋力魔力が20、敏捷性が10上がるみたい。
上昇値が一見とんでもない様に感じるけど、ユーリが言うには、レベル200以降の能力値アップは一気に跳ね上がるそうだ。
メインクラスの上昇も3倍になるとか。
例えば、武僧のレベルアップ時の筋力上昇の基本値は3。
レベル100以降はそれが1,5倍になって、上昇量は4,5になる――端数は繰り上げね。
そして150以上で更に1,5倍になって、上昇量は6,75に。
そして200以上でこれが3倍になると、一レベルで筋力が20,25まで増える事になる。
レベルを250まで上げれば、トータル1012,5も上がる訳ね。
今の私の筋力が武僧マスタリー抜きで1030だから、たった50レベルで倍近いステータスを得る事になるわ。
しかもこれはメインクラスだけだから、サブやサブサブの上昇も合わせればもっと伸びる事になる。
ユーリ曰く、レベル200以上はマンネリ打破の為のハイパーインフレだそうだ。
意味は良く分からないけど。
「オラァ!」
パラボネさんが両手の大剣で、弾かれて隙だらけの亀の肩口を斬り付けた。
その一撃は甲羅を削り、亀の前足を抉る。
以前は甲羅の部分に合たると弾かれていた彼女の攻撃だが、レベルアップによってパワーが上がった事で、ハードモードになっていない状態なら硬い甲羅部分にもダメージが入る様になっていた。
パラポネさんの選んだサブサブクラスは、
スキルがない代わりに、レベルアップ時の能力上昇が大きいクラス。
そのため、レベル200になったばかりの彼女はまだその恩恵を受けれていない。
ステータス上昇はHP筋力が40で、それ以外が20づつ上昇する。
名前からして、筋力やHPが大幅に上昇するのはまあ分かる。
でもMPや魔力まで大幅に上がるのは正直意味不明だわ。
ユーリ曰く、そういう物らしい。
因みに、あたしも最初は
「よっし!クリティカル!」
盗賊のヘスさんが素早く亀の背後に回り、後ろ脚の付け根部分に手にしたナイフを喰い込ませる。
彼女の選んだサブサブクラスは
パッシブスキルで、クリティカルと完全回避が10%つくクラスだ。
ステータス上昇はHPと筋力が25。
MPと魔力と敏捷性が20上がる。
単純な戦闘能力だけを求めるなら、ステータスが大きく伸びる
クリティカルが出れば火力が大幅に上がるとは言え、頼りにするには確率が心許ないからね。
でも元々余り火力のないクラスである盗賊は、多少筋力を上げても稼げるダメージはたかが知れている。
それならば、硬い敵にダメージを通せる可能性を手にした方がいいとヘスさんは考えた様だった。
「ガンガン行くわよ!」
順調にダメージを与え、5分程でミスリルタートルがハードモードに変わる。
耐久力が大幅に上がってしまうが、今の私達にとってはもはや大した問題ではない。
私の切り札を使うまでもなく、残り3割のHPを削り切って討伐終了。
うん、私達強くなった。
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