ダンジョンに堕ちた転生者は二度と社畜はごめんなので、拾ったダンジョンコアでスローライフを送りたい

御峰。

第1話 チートスキルはチートスキルでも一回きりだが、やっぱりチートだった

 俺の名前は坂口サガグチ政宗マサムネ。社会人10年目のバリバリの社畜だ。

 最初に就職した会社は、とてもアットホームな会社だったんだけど、給料が安すぎて自分の夢を追う事が叶わないと思い、転職を試みた。


 意外にも簡単に転職出来た次の会社は、絵にかいたようなブラック企業だった。

 残業が本業より長いが、それにはしっかりと報酬は払ってくれていたので、お金が貯まるまでの辛抱だと思い、必死に働いていた。

 だが、度重なる税金の上昇により、業績がどんどん落ちて給料も下がり、それを補おうとさらに働いた俺は、遂に社会人10年目にして倒れてしまった。

 倒れた場所が悪すぎて、誰にも見つかることなく、俺は帰らぬ人となったのだ。


 ――――――と、神様から死んだ事を告げられた。




「えっと、アニメとか漫画で出てくるような転生ですか?」


「おほほほっ、そうじゃもん~、これから新しい世界に生まれ変われるもん~」


 不思議な言葉使いの爺さんに事情を聞いて、何故か色々納得してしまう。

 まあ、あれだ。これが夢なら夢で構わない。

 働き過ぎて夢すらろくに見ていなかったから、これはこれで楽しみなのだ。


 神様とはあまり言葉を交わす事できず、新しい世界を楽しむんじゃもん~と言われると、俺の意識はどんどん遠のいた。




 ◇ ◆ ◇ ◆




 ――――【現在転生を行っています】


 無機質な声が頭に響く。

 周りを見渡すと虹色に輝く景色が広がっていて、俺はどこかに飛ばされていた。


 さて……これは一体どこまで飛ばされるのか。


 暫く身を任せていると、視線の先に地球に似た青い星が見え始め、凄まじい速度で大きくなっていく。

 これはどちらかと言えば、俺が凄まじい速度で飛んでいるのかもな。

 俺はそのまま青い星の中に吸い込まれた。


 空から降って落ちる俺の身体。

 動かそうとしても全く微動だにせず、ただただ見守るしかない。


 ――――って! めちゃくちゃ怖いんですけど!? このまま超高速で地面に衝突したら、普通の身体ではボロボロになるんじゃないの!? それとも何か転生のチートスキルで生きる権利とかないの!?


【スキル依頼を受領しました。個体名『マサムネ』に神級スキル『ヨミガエリ(1回)』を付与しました。尚、これにてスキル依頼の権利が無くなりました】


 …………。


 …………。


 待て待て~! 一回しかないスキル依頼の権利を、こんな変なスキルを獲得して勿体なくない!? なんたって1回しか使えないスキルじゃねぇかよ! もうちょっと無限に使えるスキルとかくれよ!


【個体名『マサムネ』に神級スキル依頼の権利はございません】


 あい、そうですか…………はぁ、まあなるようになるだろう。

 俺はそのまま地面に向かい落ちて行った。


 ドカーン!


 ってな感じで爆音とか鳴ると思ったけど、全くなく、俺はそのまま地面に突き刺さり地面の中に突っ込む形になった。

 止まる気配が全くないが、一体地中のどこまで落ちるのか……。


 暫くして、抜けた先は、不思議と明るい神殿のようなモノがある場所だった。

 ただ、抜けて一瞬で俺は神殿に突き刺さり、そのまま神殿の中に突っ込んだ。


 神殿の中には、日本では見た事もない大きなドラゴンがいて、本当にアニメのような世界に転生したんだと嬉しくなる。

 俺はそのまま――――――ドラゴンに直撃した。




 - マサムネはダメージ999,999,999を受けた。 -


 - マサムネは死亡した。 -


 いやいや! 転生したばかりで死ぬのかよ!?


 - マサムネは神級スキル『ヨミガエリ(1回)』を使用して、復活した。 -


 あ…………使えないと思っていた神級スキル、めちゃ良い仕事したな?


 - マサムネは『グランドダンジョン』のラストボスを倒した。 -


 - マサムネは経験値999,999,999を獲得した。 -


 - マサムネのレベルが上昇した。 -


 - マサムネのレベルが最大値になった。 -


 うわぁ…………ある意味チートスキルだったんだな。というかちゃんとチートスキルだったな。




 俺はゆっくり目を覚ます。

 周りは意外にも明るくて、ボロボロになった周囲は恐らく神殿の跡だと思われる。

 なんとか生き延びる事が出来ただけ喜ぶべきか。


 その時、俺の頭に『ステータス』という文言が思い浮かんだ。


 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 個体名 : マサムネ


 年齢 : 17


 レベル :  999


 体力  :  9,990


 魔力  :  9,990


 身体能力 : 9,990


 魔法能力 : 9,990


 運  :  ∞


 スキル : なし


 従属 : なし


 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 チートスキルはないけれど、代わりに(?)レベルマックスになった。

 アニメや漫画のようならこれで無双出来るはずだ。


 ただ………………










 無双するって事は結局働くって事だよな?

 向こうでは働き過ぎて死んだものだから、もう働きたくないな~。

 どうしようかな……。


 そんな時に、僕の前に一際ピカピカに光り輝いている玉が浮いているのが視界に入る。

 如何にも、早く触ってくださいと言わんばかりだ。


 あまりに激しく主張しているので、致し方なく玉に手を掛ける。


 - マサムネが『グランドダンジョン』の『ダンジョンコア』を獲得した。 -


 - マサムネが『グランドダンジョン』の『ダンジョンマスター』の権利を獲得した。 -



 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


 権利 : グランドダンジョン


 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 おお~、『ステータス』画面に権利が付与されている!

 でも相変わらずスキルはないな。

 そもそもダンジョンってなんだ?


【ダンジョンについて、チュートリアルを受けますか?】


 …………。


【ダンジョンについて、チュートリアルを受けますか?】


 …………。


【ダンジョンについて、チュートリアルを受けますか?】


 こいつ、絶対チュートリアル受けさせる気しかないんだろう!

 わかったよ! 受ければいいだろう! はいはい!


【ダンジョンは、コアを獲得してマスターとなった者の魔力を使い、再構築出来ます。魔力10でダンジョンポイント――――ダンポが1獲得出来ます】


 ダンポってネーミングセンスよ……。


【ダンポを消費する事で、各フロアの生成や変更、魔物の配置や環境変更など、様々な事が実現出来ます】


 つまり、ダンポを貯めれば色々いじれるって事だね?


【ダンポは魔力変換では効率が悪いため、おすすめしません】


 効率悪いのかよ!

 じゃあ、どうしたらいいんだよ!


【ダンポを効率よく獲得するには、ダンジョン内で侵入者を倒すと沢山増えます】


 侵入者……?


【現在『グランドダンジョン』は初期化しております。初期配置が終わり次第、地上と接続され、侵入者が現れるでしょう】


 つまり、地上に住んでいる人達が潜って来るという事か~、それは楽しみだな。


【ダンジョンコアを奪われたら、ダンジョンマスターは死亡します】


 かかってこいや!!

 潜って来たやつら片っ端から○○してやるわ!!


【侵入者排除以外にも、侵入者の感情エネルギーでダンポを獲得出来る場合があります。獲得量には侵入者の感情エネルギーに差異がございます】


 んと……これはつまり、侵入者をすぐに倒さずにじわじわと倒せと言っているのか?

 取り敢えず、これも頭に入れておこう。


【最後に『ダンジョンマスター』を解除した場合、ダンジョンは『元のグランドダンジョン』に戻り、マスターはダンジョンの外に追放されます】


 奪われたら死亡だけど、自分で諦めたら追い出されるだけね。

 よし、理解した。

 ダンジョンで何が出来るのか分からないけど、働かずに済むようなダンジョン創り、頑張りますか!

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