第8話 第一王子ルーカスの決意

王都へ帰る馬車の中で

私は大きなため息をつく。



そろそろフレデリクはクロエのところに到着した頃だろうか。


昨日レオからの至急の伝達が来た

『お姉様が今日助けた人を知りたがっています。僕はこれ以上嘘をつける自信がありません。』


私も焦っていたとはいえ、フレデリクに頼んだのは間違いだったかもしれない。 昨日クロエと話して少し離れた場所からフレデリクとクロエが話しているのを見ていた。急にクロエの顔色が悪くなっているのが見えた。


私は周りにいる人達を忘れ大きな声で

「クロエー!」


と名を叫んで倒れるクロエを抱きかかえた。意識のないクロエを見て心臓が止まりそうだった。


もう二度と辛い思いをさせたくない。


時間を戻せるのは一度だけ ・・・・・・・・・



あの日私のところに来た者・・・・・



神というべきか、精霊なのかわからないが 王族を代々守る守護神アルテミリオン 彼女が私の前に現れ


『真実を知り正義を守る王となりなさい』



その言葉とともに宝玉をくれた。 時間を戻せるのは一度だけ



どの時間に戻るかは私次第。 毎日のように、レオは私のところに来ていた



「姉上は無実です!!姉上を何故婚約者候補にされたのですか!!」


「クロエ嬢が無実だとわかっているが、今の私にはこの王家での力はないんだ。私には後ろ盾もいない」


私は自分の無力さに絶望さえ感じていた 母上が亡くなってからは父上の側室であったカーリー妃が全てを牛耳ってたのだから。



「クロエ嬢を婚約者候補にしてしまった事は本当に申し訳ないと思っている・・・・・・・・・」



これは私のわがままなのだから。


そして、クロエの父であるリシャール伯爵も1つの決断をして全てが終わったんだ。




・・・・・・・・・





戻る時間は決まっている。



私が初めてクロエにあった日

婚約者が決まる前 そこからこの謎を全てを解き明かそう。



ただクロエには何も知られたくはない。 時間が戻る事を知る者は私だけ。


のはずだったが、レオまでもが時間の逆行に気づいた。



記憶全てではないが、夢かもしれないと誕生日会の昨日、私に話してくれた。 クロエには何も言わずに、全てを解明する。



レオにもあの結末にならない事を誓った クロエには無邪気に笑っていて欲しい。クロエが知る最後はとても残酷だったのだから。



・・・・・・・・・ リシャール伯爵がいないのであれば 私が行けば良かった。 これ以上フレデリクとクロエが親密になって欲しくはない。


でも私にはあの時と同じように時間を過ごしながら真実を突き止めなければならない。 今日はクロエを安心させれればそれでいい。 クロエが学園に行きたいと前回と別の道を進むならそれもいいだろう。 クロエに同じ災いがふらなければ。



まずはイザベラ嬢との婚約の話しを白紙にしないと 前回は国王である父の言いなりだったが今回は違う。


国王が全て正しいわけではなかった。


ロベール侯爵家がどう動くのか周りはどんな反応を見せるのか。



だが・・・・1番阻止しなければならないのは戦争。




次期国王として この国に戦争を起こした者を私は絶対に許さない。

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