第6話 会いたい人
昨日の誕生日会が終わって、夕食もあまり喉に通らず、結局あまり眠れなかった。
考えてもわかるわけがない。
情報が少なすぎる。 5年後に起こるかもしれない事を今どうにかできるの?
レオの様子もおかしい。でも聞いて欲しくないオーラが凄い。 レオは何か知っているのかな? なぜ第一王子様は私の誕生日会に来たかったの? 私が部屋に籠もらなかった事を何故知ってるの? フレデリク様が私を抱えたの? あの匂いはフレデリク様?
「・・・・・・・ロエ」
「・・・・クロエ?」
「お姉様?」
名前を呼ばれて、我に返った。
「はい!」
みんなで朝食中だった。 お母様が
「クロエ、昨日もあまり眠れなかったのですか?あまり無理しないでね」
「えぇ、多分もうすぐ落ち着きます。今はいろいろ考えてしまったの」
「お姉様いろいろって?」
「お父様にお願いがあるのですが」
「うん?クロエからのお願いとは珍しいな」
あまりおねだりもしない私からのお願いにお父様も少し嬉しそうだった。
「13歳になったら王宮の学園に通いたいの」
「まぁ!素敵〜クロエが自分から王都に行きたいだなんて!クロエの世界が広がるわね。お母様は賛成よ」
お父様は少し心配なのか
「家庭教師じゃだめなのか?学園はいろんな人がいて、妬みや嫉妬がたくさんある場所だクロエのように優しすぎる子がやって行けるだろうか?そのうち私がクロエに合う婚約者を見つけて来てやるんだが、それじゃだめなんだろうか?」
そのお父様が前回の人生では第一王子様の婚約者候補に私をしたんじゃないの! できれば婚約者は自分で見つけたい。王族と関係ない方がいい。
「父上!僕はお姉様が学園に行くのは賛成です。お姉様の世界は狭すぎます。たくさんの友人を作って人脈を広げるのも貴族にとって大事なのでは?」
レオ、8歳とは思えないしっかりした意見なのね。私の心は15歳なのにまだまだ幼いわね。 お父様は少し考えて
「今すぐいいとは言えないが、まずはカタリナといろんなお茶会や王族主催のお祭りなどに参加しなさい」
「お母様と?」
「13歳になったら社交界デビューの夜会は私がエスコートしよう。そういった場所に無事に参加出来るようなら、学園に行くのもいいだろう」
「うん。ありがとうございますお父様!私頑張るわ」
「クロエ、変わったのね。昨日も素敵な男の子がクロエを心配してくれたし」
「カタリナ!その話はしなくていい」
「え?昨日私が倒れた時の事?心配って・・・・・フレデリク様?」
お父様は少し驚いた顔になって
「クロエは気にしなくていいんだ。倒れたのは疲れていたから、私がクロエを部屋に運んだ。結婚もしていない女性が男性とふたりきりになってはいけない。いいね、クロエ」
「はい」
お母様を見てもニコニコしてそれ以上は何も話せないって顔をした。
朝食後いつも私は庭園の横にある私専用の菜園に向かうのだけど、その前にレオを捕まえた。
「レオ、お願い教えて!」
「お姉様どうしたの?顔が怖いよ?」
「昨日私を心配した男の子を知ってるんでしょう?」
「え?僕が?」
「うん。レオは昨日何か言いたくても言えないように見えたのレオが困るなら、これ以上はレオには聞かない。だけど、昨日私を心配して抱きかかえた男の子だけ教えて!それはフレデリク様なの?」
「僕は、知ってるけど言えない」
「それはどうして?誰に口止めされてるの?」
レオは黙り込んでしまった
「・・・・・・・・・」
私はレオを掴んでいた手を離した
「レオごめんね」
私はレオに背を向けて菜園に向かった 少し離れてからレオが
「お姉様、僕を嫌いにならないで、僕はお姉様が大好きなんだ」
「何言ってるの?私がレオを嫌いになんてならないわ」
私は笑顔で答えた
「今日、お姉様が会いたい人がお姉様を訪ねて来るよ。父上は昼から王都に向かうから1週間は戻らない。今回は僕はついて行かない。お姉様のそばにいる」
レオは単語を並べてるような話し方をした 言える事、言えない事、考えながら話してるようだった
「そうなの?私はどんな格好をしたらいいのかな?」
「お姉様はいつもどおりでいいよ。お姉様は何を着ても綺麗だから。」
私は吹き出した
「ふふふ、レオも同じ顔なんだけど?」
「僕はかっこいいの!」
いつもの会話に安心した。
今日来てくれるお客様は私が会いたい人なら、それは昨日私を抱えてくれた人だ。
あの匂い・・・・・でわかる。
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