第2話 出会い②
「だから何遍も言うとるやろが。そのコーヒーの置き方はなんやって。
お前、このオレをバカにしてんのか?あん?」
「…そ、そんなことはございません。」
同じようなやりとりを延々と繰り返している。
「…不毛っすね。」
後輩はウンザリしたように言った。リュウもため息をつくと後輩に声をかけた。
「ちょっと言ってくる。お前、ここで待ってて。」
後輩を列に残し、リュウはカウンターの方へと歩んでいった。
「あの、新しいコーヒーをご用意させていただきます。だから…」
「お前のコーヒーなんか要らんのじゃ!店長出せ、店長を。」
「て、店長お願いします。」
店員の女の子は振り返り、目で店長を探した。他の店員達も気にしているのはありありとわかる。だが誰も目を合わそうとしない。ただ黙々と仕事をするだけ。
店員の女の子はもう一度震える大きな声で呼んだ。
「すみません、店長お願いします。」
先輩の店員の1人がたまらず顔を上げた。そして店員の女の子と目が合ってしまった。
先輩の店員は小さく頷き、店の奥へ入って行った。事務室のドアを開けると店長はパソコンに向かっていた。
「すみません。カウンターにいつものお客さんが来てます。店長を呼んでます。」
カウンターの客の怒鳴り声がここまで聞こえている。しかし、店長はなにも聞こえていないようにパソコンの画面を見たり、手元の書類の処理を続けている。
「あの、聞こえてます?カウンターの子、今日来たばかりですよね。お願いします。」
先輩の店員があらためて強めの声をかけた。
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