33のかけらたち

奈月沙耶

 

ある悪役令嬢の33の断片

1、海に行きたい

基本わたくしはインドアよね

自分から海に行きたいだなんて思わないわ

でも海イベントは重要ですわね

太陽がアチチで素肌が触れ合ってきゃっきゃうふふで何が起こっても「太陽のせい」って それはもう都合のいい場所ですもの

準備万端で向かわなくてはいけないわ


だからそうね

わたくしが自分の記憶として覚えている数少ない海は

船上から眺めた大海原だわ

輝く波頭

きれいに羽を広げて舞い続けるかもめたち

きらきらと明るい青い光景は素晴らしかったわ

嫌でも心は希望に満ち溢れた


あんなふうに海を越える経験ならまたしてみたい

あんなふうな気持ちにはもうならないでしょうけどね うふふ

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