絡まれるセラと絡むAランク冒険者

 ワープを使い王都へ移動するとさっさと用事を済ませるべく王都の冒険者ギルドへと向かった。

 王都の冒険者ギルドなんだけど、繁盛してるらしく人が一杯で活気に満ち溢れている。

 ただ、活気はあるものの柄の悪い人間も多くて正直あんまり長居のしたい場所ではなかった。

 ギルド内は酒を提供するところもあるし、煙草を吸う人も多くて正直気持ちが悪かったりする。

 そんな事もあり私は、さっさとBランクの試験を受けるべく受付へ向かうのだった。


 受付へ行き受付嬢に手紙を渡してBランクの試験を受けたい旨を伝える。


「あの、Bランクの試験を受けに来たのですが……」

「えっと……あなたがですか?」

「……そうですけど」

「確かにジザール村のギルド長からの手紙ですね、中身も試験を……とあります」


 私がBランク試験の話を受付嬢さんとしているところに突如二人組の男が声を掛けてきた。

 声を掛けてきた男二人を見れば、片方は色白のモヒカン男で、もう片方は色黒のスキンヘッド男だった。

 なんか変なの来ちゃったよ。

 面倒な事にならないといいんだけど……


「おいおい何の冗談だ? こんな小便臭いガキがBランクだって?」

「ははは違いない。体でも使ってギルド長にでも取り入ったんじゃねえか?」

「二人共ギルドでは騒ぎを起こさないでくださいって、前に注意されましたよね?」

「いやいや、俺達はBランクになって心が折れないように善意で話しかけたんだぜ」

「そうだぜ俺達Aランク冒険者二人は優しさから話しかけたんだ」


 二人の男が私達の話に入って来た事により、周りが少しざわつきだす。

「おい、またあいつらだぜ」「あの嬢ちゃんも可哀想にな」という声が其処彼処から聞こえてくる。


 多分この状況から普段もこういう事をこの二人はやってるんだなと私は察した。

 この手の輩は一度痛い目に合わないと分からないだろうから、こっちから喧嘩を吹っ掛ける事にした。


「あれぇ? 女の子一人に男二人が女々しく忠告でちゅか?」

「こんのぉアマ! 調子に乗りやがって」

「こいつにAランクの厳しさを教えてやろうぜ」

「ちょ、ちょっとギルド内で喧嘩は止めてください!」

「「うるせぇ!」」

「ほらほら、お姉さんが二対一で相手してあげまちゅからね」

「あぁぁああ、もう誰かギルドマスターを呼んできて!」


 突然始まる喧嘩に周りも煽る「やれー!」「いけすかないハゲ共を潰せー!」

「俺は断然あの子を応援するぜ可愛いからな」といった感じに様々な声が聞こえてきた。


「二対一で良いといった事を後悔させてやる!」

「ほらー御託はいいから早く来て」


 手をクイックイッと動かしこちらへどうぞとアピールをすると周りは大いに沸き上がる。

「ひゅー恰好良いね、お嬢ちゃん」「おぉいAランク馬鹿にされてんぞー」


 その挑発と周りの煽りに切れてスキンヘッド男が突っ込んで殴りかかって来るが、その手を掴むと捻りながら投げつけ地面に叩きつける。

 そしてそのままスキンヘッド男の首筋に手刀を叩き込み沈黙させる。


 この一瞬の出来事に周りの野次馬は理解が追い付かずに黙り込みしばしの沈黙の後にこの場に歓声が上がる。


「うぉぉぉなんだ今の」「今の動き見えたか?」「あの子凄いわ」


「ちっ! 馬鹿が挑発に乗って気絶させられてたら意味ないだろうが」

「ほらほら、どうちたのかなぁ? 今の見て怖くなっちゃたかな?」

「ふっざけんな!」


 煽り耐性も無く突っ込んでくるモヒカン男に対して私は懐に入り込み鳩尾に連打を浴びせる。

 数回鈍い音が辺りに響くとモヒカン男は動かなくなった。


 二人が一分もしない内に倒れ込む光景を見た野次馬達は「うぉぉぉおお!」と声を上げた。

 その騒ぎの中で騒ぎを止める大きな声が響き渡る「――何をしているか!」と


 

 見れば片方の目に傷のある白髪の老人がそこには居た。

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