第19話 大河近辺は何も無かった

 見学のつもりで、ノンビリ歩いて居ますが、20分歩いても民家が有りません。

「ゼナ、いつまで歩く?ちょっと疲れたよ」

「レイナ?あっ!そうか、レイナってまだ一歳だった!」

「今まで、あんまり歩く機会が無かった、身体強化で瞬発力は有るけど持久力が無いんだよ」

「この感じで歩くと、後1時間は歩かないと民家は無いよ、大河は氾濫が怖いので、誰も近くに住まないんだよ、利用価値無かったからね、農業用水は、支流から幾らでも取れるから。

 川魚も食べる人が居ないの」



「支流が有るなら、ボートタイプの小型船に、単純ボーラー搭載の運河船の交通考えたら?」

「運河は考えたよ、でも、『馬車で行けるのに、何で川を作ってまで船を使う?無駄だ』で許可してくれないの」

「支流は細いの?」「うん」

「じゃ、治水工事、護岸工事なんて、思いも依らない考えだね」

「そう言う事」

「苦労して来たんだね!」

「うん、レイナの想像以上にね」


「…ゼナ、家を出て…大公家に仕官してよ!」

「今更?私は最初から、レイナの所に行くつもりだったよ!」

「ローレル伯爵家は良いの?」

「もう一寸で、二歳になる弟が伯爵家を継ぐから、居れば色々便利かも知れないけど、金食い虫の私は結局邪魔者なのよ」



「お嬢!迎に来たぞ!」

「アトラス親方!」

 二両編成の鉄道馬車がやって来ました。


「大公賢者様!!さっ乗って下さい!」

「レイナ、こちらはアトラス親方、私の一番の理解者」

 紹介された親方は、盛り上った筋肉の、腕だけでも私の身体よりも太い、穏やかな笑顔をした巨漢でした。


 話の邪魔にならないよう、少し離れて着いて来てた、セバスと10人の親衛隊も乗車した頃、馬を後部に繋ぎ直し、反対方向に出発します。


 乗車して親方の第一声

「大公賢者様!正体不明、加工不能謎の鉱石を調べて下せぇ」

「以前採掘した鉱石に含まれてた、謎の金属なんだけど、鉄でも銅でも、鉛錫金銀ニッケル、私の知ってる金属と全く違う金属なの!」

「ゼナって日本では、群馬の国立大学理工学部、そこで金属工学冶金学も学んだって言ってたよね?其なのに知らない金属?」


「うん、機械工学、電子工学、応用物理学、応用化学、金属工学冶金学、受けれる講義は全て受けたよ、でも、地球での学問で魔力なんて無かったし、この世界は違う法則が働く可能性が有るんだよ、私の知識では通用しない事が!!だからね!面白い!!」


「ゼナは常識に囚われ過ぎ、ミスリルとか思わなかった?」

「ミスリルって?」

「オリハルコンとか、日緋色金とか」

「レイナ?何よ!それ」

「魔法を通したり増幅したり、魔物や邪悪な物を絶つ金属よ」

「習った事が無い…流石80歳の知識!!」

(学問と違うからね、習って無くて当然だよ)


「親方!解るかも、工房に向かって!!」

「あいよ!嬢ちゃん」


(ラノベ知識ですからね、そんなに期待されると、プレッシャー感じるよ)


 鉄道馬車は、アトラス工房に、乗り付ける事が出来る様になっています。

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